認定新規就農者になるべき6つの経済メリット|条件と申請手順も解説

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これから農業を始めようとお考えの方は、きっと「認定新規就農者」のことをお調べのことと思います。

その際、こういった疑問をお持ちではありませんか?

・自分は「認定新規就農者」になれるのかな
・「認定新規就農者」になるにはどんな手続きがいるんだろう
・「認定新規就農者」って本当に得なのかな

そこでこの記事では、新規就農をめざす方にむけて「認定新規就農者」の基礎知識をわかりやすく解説します。

さらに「認定新規就農者」になるための具体的なステップもご説明します。

この記事を読むことで、次のことがわかるようになります。

(1)認定新規就農者についての基礎知識
(2)認定新規就農者になるメリット&デメリット
(3)認定新規就農者になるための手続き

そして、「認定新規就農者」になっておく方が大変お得なことがおわかり頂けると思います。

審査は大変ですが、認定後には手厚い優遇措置があります。
これから就農をする人には絶対におすすめです。

この記事が新規就農者のお役にたてれば幸いです。

 

目次

1. 「認定新規就農者」とは制度的に認められ幾つもの優遇措置を受けられる農業者

この章では、「認定新規就農者」の基礎知識をご説明します。

またその前提となる「青年等就農計画制度」もあわせてご説明します。

この章を読むことで、「認定新規就農者」の概要や制度の理解が深まります。

1-1. 「認定新規就農者」と青年等就農計画制度の目的

青年等就農計画制度について 農林水産省|青年等就農計画制度について

「認定新規就農者」とは、制度的に認められ幾つもの優遇措置を受けられる農業者です。

日本の農家の人口比率は、65歳以上が6割を占める一方で40歳代以下が1割という著しくアンバランスな状態です。
そこで新規就農者の確保・定着が図れるよう「青年等就農計画制度」が創設されました。

一定の条件を満たした新規就農者を制度的に認定し、営農計画を提出させることで育成を図ります。
同時に、様々な融資や手当てなどで支援していこうというものです。

制度的に認められるだけあって、得られる優遇措置も大変お得なものになっています。

1-2. 「認定新規就農者」に申請できる人

「認定新規就農者」に申請できる人は、次の条件に当てはまる方です。

(1)青年の場合は、原則18歳以上45歳未満
(2)効率的かつ安定的な農業ができる知識・技能を身に着けている場合は65歳未満
(3)法人の場合は、上記の(1)または(2)の者が役員の過半数を占めている

農業を開始してから一定期間(5年)以内なら、認定を受けることが可能です。
ただし、すでに「認定農業者」の場合は「認定新規就農者」にはなれません。

なお「認定農業者」について詳しく知りたい方は「認定農業者はこんなに有利!超低金利融資と7つのメリットを徹底解説」を参照ください。

1-3. 「認定新規就農者」と「認定農業者」の違い

「認定新規就農者」と「認定農業者」はとても似ているので、主な違いをまとめました。

制度 項目 内容
認定新規就農者 目的 新規就農者を育成・支援すること
年齢制限 原則として18歳以上45歳未満であること
主な補助金 年間最大150万円、最長5年間の「農業次世代人材投資資金(経営開始型)」が受けられる
主な融資 上限3700万円の無利子融資「青年等就農資金」が受けられる

(一定の要件を満たせば特認限度額1億円)

認定農業者 目的 地域農業のリーダーの育成・支援すること
年齢制限 なし
主な融資 超低金利(0.08%(特認0%))のスーパーL資金が受けられる

(個人:3億円(特認6億円)、法人:10億円(特認20億円))

主な出資 アグリビジネス投資育成会社からの出資が受けられる

あなたが「認定新規就農者」に申請できる条件を満たしているなら、「認定新規就農者」の方がお勧めです。

最大750万円の「農業次世代人材投資資金」を受けられるからです。
また無利子融資の「青年等就農資金」も受けられます。

今「認定新規就農者」になったとしても、青年等就農計画の期限(5年)が過ぎたら「認定農業者」に申請することができます。
(もちろん審査を受ける必要があります。)

一方、先にも述べましたが、既に「認定農業者」の場合、「認定新規就農者」になることはできませんのでご注意ください。

2. 「認定新規就農者」になる6つのメリット

この章では、「認定新規就農者」が得られるメリットをご紹介します。

農業を始めるうえで非常に心強い支援策が揃っています。
ぜひ「認定新規就農者」になられたら、ご活用ください。

メリット1. 「農業次世代人材投資資金(経営開始型)年間最大150万円、最長5年間」が受けられる

農業次世代人材投資資金は、これから農業をはじめようとする人に向けて交付されます。
就農前の準備や就農後の生活の安定を支援することが目的です。

「準備型」と「経営開始型」があります。
このうち「経営開始型」は「認定新規就農者」のみが受けられるものです。
年間最大150万円が、最長5年間にわたって交付されます。

この「農業次世代人材投資資金」は交付金なので原則として返す必要はりません。
(ただし、離農された場合は返還義務が発生する場合があります。)

詳しくは「農業次世代人材投資資金|新規就農で1050万円の支援を受ける方法」を参照ください。

 

メリット2. 無利子の融資「青年等就農資金(上限3700万円 金利0%)」が受けられる|(特認限度額は1億円)

融資

新規就農者向けの無利子融資です。
営農に必要な機械・施設の整備等を支援します。
上限3700万円です。
返済期間は最長12年ですが、うち据置期間が最長5年あります。

なお、特認の限度額は1億円です。(下記注意事項を確認ください。)

この「青年等就農資金」はローンですから返す必要があります。

詳しくは農林水産省HPの「青年等就農資金」を参照ください。

特認限度額(1億円)を受ける場合は、次の要件をすべて満たす必要があります。
(1)認定就農計画における農業所得の目標が当該認定新規就農者の所在する地域の平均以上
(2)次のいずれかに該当する者であって、農業の技術及び経営方法を習得したと認められる旨の意見書が都道府県知事の認定を受けた指導農業士等から提出されている
・ 農業の技術又は経営方法を実地に習得するため、指導農業士又は認定農業者が主宰する農業に年間150日以上従事した年が2年以上
・ 技術等習得年が1年以上であり、かつ農業大学校等の農業経営者育成教育機関における研修と通算して2年以上

 

メリット3. 農業用機械などの導入を支援してくれる「経営体育成支援事業(上限300万円)」がうけられる

農業機械

収益力強化と経営発展のために、農業用機械・施設の導入を切れ目なく支援してくれます。

具体的には「強い農業・担い手づくり総合支援交付金」のうちの「地域担い手育成支援タイプ」が受けられます。
法人・個人問わず、上限300万円です。

この「強い農業・担い手づくり総合支援交付金」は交付金ですから、返す必要はありません。

詳しくは次のリンクを参照ください。
農林水産省HP「強い農業・担い手づくり総合支援交付金」

メリット4. 経営所得安定対策(ゲタ・ナラシ)に加入できる

「ゲタ対策」とは、畑作物について外国との間に生産条件の違いで価格差にある場合に、不利な部分を補填してくれるというものです。
「ナラシ対策」とは、米・畑作物の収入減少による農業経営への影響を緩和するために補填してくれるというものです。

名前の通りこの施策を受けることで経営の所得が安定します。
認定新規就農者であればこれらの支援を受けることができます。

この「経営所得安定対策」は補填ですから、返す必要はありません。

詳しくは次のリンクを参照ください。
農林水産省HP|ゲタ対策・ナラシ対策

メリット5.年金で補助が受けられる|農業者年金で社会保険料の国庫助成が受けられる

認定農業者になって年金優遇装置をうけるイメージ図

「農業者年金」とは、自営農業の個人農家が任意で加入できる年金で、国民年金(基礎年金)の上乗せ年金の一つです。

認定新規就農者でかつ青色申告者の場合は、その支払い保険料について月額2万円のうち1万から4千円の国庫補助を受けることができます。

国庫補助ですから、返す必要はありません。

なお補助を受けられる期間は最長20年ですが、細かな条件によって異なりますので、詳しくは下記を参照ください。
農業者年金基金HP|農業の担い手には保険料の国庫補助あり

メリット6. 「農業経営基盤強化準備金制度」で税制の特例措置が受けられる

認定農業者になって税制優遇装置を受けるイメージ図

「農業経営基盤強化準備金制度」とは、交付金を積み立てた場合にその分を課税所得から控除できるというものです。
課税所得を少なくできるので、税金の支払いも少なくなります。

さらに、5年以内にこの積立金を取り崩して農地や農業用機械などを買った場合、一定の金額を課税所得から控除できます。
ここでも課税所得を減らせるので、税金も少なくなります。

つまり税金の影響を減らしつつ、交付金を有効活用できるということです。

詳しくは次のリンクを参照ください。
農林水産省HP|農業経営基盤強化準備金制度

 

3. 「認定新規就農者」になる際のデメリットはない|「青年等就農計画」を作るだけ

「認定新規就農者」になるデメリット(課題)は、あえて言うならば「青年等就農計画」を作成しなければならないことです。
満たすべき要件が幾つもあるため、作成には注意が必要です。

ただ、計画作成は農業経営においても大変重要なことです。

これから農業を始めるにあたって、まだまだわからないことがたくさんあると思います。
行き当たりばったりではなくきちんと計画を立てて進めることが、農業で成功するための第一歩ではないでしょうか。

計画を作る際にアドバイスをもらえるおすすめ相談先

計画作成のプロセスにおいては、たくさんのアドバイスを受けることができます。

特におすすめの相談先はこちらです。

・農業普及指導センター
・市町村の農業関係部署
・農業学校
・青年農業者等育成センター
・JA(農魚協同組合)
・近隣先輩農家

このような方々との繋がりの中で指導を受けながら農業を始められることは、ものすごいメリットだと思います。

積極的に相談してたくさんアドバイスを頂き、より実践に近い形の計画を作成しましょう。

「青年等就農計画」については、次の章で解説します。

4. 「認定新規就農者」になるために必要な3つの手続き

この章では、「認定新規就農者」になるために必要な手続きをご説明します。
次の各ステップをおさえていくことで、確実に進めることができます。

STEP1. 青年等就農計画を作成する

STEP2. 青年等就農計画を市町村へ申請し、審査を受ける

STEP3. 認定され通知書が発行されることで「認定新規就農者」となる

では一つずつご説明しましょう。

STEP1. 青年等就農計画を作成する

「青年等就農計画」とは、営農に関する目標や将来の構想、具体的な栽培内容などの項目を盛り込んだ経営指標です。

主に次のような内容を記載します。

項目 内容
基本情報 就農地、営農開始日、申請者経歴等
就農形態 新規営農開始、親を継承する等
目標とする営農類型 稲作、畑作、果樹栽培、酪農等
将来の農業経営の構想 年間農業所得及び年間労働時間の現状と目標等
農業経営の規模に関する目標 作物別作付面積、生産量等や関連事業の規模等
生産方式に関する目標 使用する機械・施設の型式・性能・規模等
経営管理に関する目標 収益目標等
農業従事の態様等に関する目標 休日取得状況等
目標を達成するために必要な措置 施策の規模、時期、コスト、資金調達先等
農業経営の構成 農業従事者の担当業務、年間農業従事日数等
雇用者情報 常時雇、臨時雇の人数等
技術・知識習得状況 研修先等の名称、期間、研修内容等

「青年等就農計画認定申請書」のフォーマットについては農林水産省HPにアップされています。
農林水産省HP|農業経営基盤強化促進法の基本要綱~参考2「青年等就農計画認定申請書」

もちろん申請先の各市町村役場にもありますので、直接問い合わせてください。
その際は、作成のことやアドバイスを受けられる先を紹介してもらうと良いでしょう。

また記載例については、岩手県農業公社HPの記載がわかりやすかったので、下記にご紹介します。
岩手県農業公社HP|青年等就農計画認定申請書(イメージ)

青年等就農計画認定申請書(イメージ) 青年等就農計画認定申請書(イメージ)

STEP2. 青年等就農計画を市町村へ申請し、審査を受ける

「青年等就農計画」が完成したら、農地のある市町村へ申請します。

市町村では、提出された計画をもとに審査を行います。

その際、計画作成の過程で助言・指導した農業者や指導センター、農業学校学校関係者などへも意見聴取がなされます。

また計画の認定基準については、農林水産省HPに次の内容が公表されています。

(1)その計画が市町村の基本構想に照らして適切であること
(2)その計画が達成される見込みが確実であること
(3)(※)45歳以上の場合は下記注意事項参照

さらに具体的な認定基準を知りたい方は下記を参照ください。

農林水産省HP|農業経営基盤強化促進法の基本要綱~別紙4の2「青年等就農計画の認定基準」

(※)45歳以上の場合の認定基準
65歳未満の者であって、かつ、次の(ア)~(オ)のいずれかに該当するものは、その有する知識及び技能が青年等就農計画の有効期間終了時における農業経営に関する目標を達成するために適切なものであること。
(ア)商工業その他の事業の経営管理に3年以上従事した者
(イ)商工業その他の事業の経営管理に関する研究又は指導、教育その他の役務の提供の事業に3年以上従事した者
(ウ)農業又は農業に関連する事業に3年以上従事した者
(エ)農業に関する研究又は指導、教育その他の役務の提供の事業に3年以上従事した者
(オ)(ア)から(エ)までに掲げる者と同等以上の知識及び技能を有すると認められる者

 

STEP3. 認定され、通知書が発行されることで「認定新規就農者」となる

市町村の審査において無事「青年等就農計画」が認定されたら、通知書が発行されます。

これで晴れて「認定新規就農者」です。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

この記事では、認定新規就農者について次のことをご説明しました。

認定新規就農者にはたくさんのメリットがあります。

一方で計画書を作らなければならないデメリットもあります。
しかし、計画作成は農業経営にとってとても大事なことです。

計画作成のは、農業普及指導センターや市町村、学校など各方面からアドバイスを受けることができます。
このように指導を受けながら農業を始められることは、むしろメリットと考えるべきでしょう。

何よりこれから農業で頑張っていこうとする皆さんを応援する制度であることには間違いありません。

ぜひ、この制度を活用し、農業への確実な一歩を踏み出して頂けたらと思います。

その一端としてこの記事がお役にたてたら幸いです。

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