田植え前に必須!代掻きの基本|画像でわかる7つのコツと効率的手順

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初めて稲作に挑戦するあなたは、「代掻き(しろかき)」についてこんなことをお考えではありませんか?

・代掻きって必要なの?
・代掻きをやる時期と回数は?
・代掻きにはどんな準備が必要?
・代掻きにコツはある?

代掻きは、単純そうに見えますが米作りには欠かせない大切な作業です。
実は、代掻きの出来が田植えの仕上がりと苗の成長に大きく影響します。

そこで、この記事では田植え前に必須の代掻きについて次の4点を豊富な画像とともにわかりやすく解説していきます。

(1)なぜ代掻きが大切なのか

(2)代掻きをする時期・回数と手順

(3)代掻きで準備しておきたいこと

(4)失敗しない代掻きの重要ポイント

最後まで読めば、知識不足によるミスや損失を減らせるだけでなく、迷わず効率的な代掻きのヒントが得られます。

一緒に美味しいお米を作りましょう!

 

1.  代掻き(しろかき)とは

この章では、代掻きの基礎知識と代掻きを行う理由をご説明します。

代掻きは、田植えに比べて目立たず単純な作業です。

しかし、この章を読むことで、代掻きがいかに重要な作業であるかが、おわかり頂けることと思います。

1-1. 代掻きとは田植えの前に田の状態を整える作業こと

代掻きの前後

代掻きとは、田に水をはって土を細かく耕し、かき混ぜて表面を平らにする作業です。

その目的は、田植えをスムーズにかつ確実に行えるようにすることです。
さらに苗が育ちやすい状態に整えることです。

通常は田植えが始まる前に、2回程度行います。

1回目は、荒く土を砕くようにおこないます。
2回目は、土面をきれいに均す(ならす)ようにおこないます。

もし、耕作放棄地などで田の状態が悪ければ、3回おこなうこともあります。

1-2. 代掻きをすることで得られる7つのメリット

順調に育つ苗

代掻きがうまくできれば、苗の育ちも良い

代掻きが必要な理由は、たくさんありますが、代表的なものは次の7つのメリットがあるからです。

代掻きをすることで得られる7つのメリット

 

(1)苗がムラなく育つ:土を平たくすることで、水をはったときの水深が均一になり、ムラなく育つ
(2)田の水持ちが良い:土が均一に落ち着くので、水が全体に行き渡り、田の水持ちが良くなる
(3)田植えがしやすい:土を柔らかくすることで、田植えのときに苗が刺さりやすくなる
(4)苗が育ちやすい :土を柔らかくすることで、田植え後も苗の根が活着しやすく、育ちやすくなる
(5)農薬の無駄が減る:元肥(最初に撒いておく肥料)や除草剤をムラなく混ぜ込むことができる
(6)雑草を抑制できる:雑草を根から倒して土に沈めるので、雑草の発芽を抑えることができる
(7)土壌を改善できる:土中に新鮮な空気を取り込み、また土中の有害ガスを抜くことで、土壌を改善できる

このように、代掻きは田植えの成功を左右する大切な作業なのです。

1-3. 代掻きをサボると起きる5つのデメリット

雑草

除草剤の効果が出ず苗の間から雑草が生えだす

代掻きをサボったり内容が不十分だと、次のような事態となります。

代掻きをサボった時におこる5つのデメリット

(1)田植えの時、土が固いために苗が刺さりにくく、刺さったとしてもすぐに抜ける
(2)田植え後も、根が伸びにくい
(3)底がデコボコで水をはったとき水深に差がでるため、苗の成長にムラが出る
(4)土が貧弱なままで酸素や肥料が苗に行き渡らず、病気になる
(5)雑草が生き残っているので、後々の雑草処理が大変になる

特に雑草処理が大変です。

田植え後は草刈り機などもちろん使えません。

手で1本ずつ雑草を抜く作業になるので、かなりの重労働です。

2. 代掻きの回数・時期と手順

この章では、代掻きの基本的な回数・時期・手順の解説します。

2-1. 代掻きの回数と実施の時期

代掻きの回数は、田の荒れ具合によって決まります。

代掻きの時期は、田植えの2日前から1週間前が一般的です。

田の状態 必要な回数 行う時期
状態の良い田

状態の良い田

1回 田植えの2日前~1週間前
荒れている田

荒れている田

2回 1回目は田植えの3日前~1週間前
2回目は田植えの2、3日前
耕作放棄地

耕作放棄地

3回 1回目は田植えの3日前~1週間前
2回目、3回目は田植えの2、3日前

上記のように田植えの時期から逆算して決めます。

1回目の代掻きは、田植えの3日前から1週間前です。
2回目の代掻きは、田植えの2~3日前ぐらいです。

2-2. 代掻きで準備するもの

代掻きで準備する主なものは、次のとおりです。

トラクター トラクターと燃料

トラクターは燃料を満タンにしておきましょう。
燃費を調べて途中で補充が必要となるかも計算しておきましょう。

アルミレーキ アルミレーキ

アルミレーキは田の四隅や窪地を耕すのに使用します。
トラクターでは届かない場所がどうしても出来てしまうので必要です。

水分補給 水分補給

水分の準備は大切です。
途中で喉の渇きを感じても、トラクターが田の真ん中にいるとついつい我慢してしまいます。
なので、水分は常に手元にもっておきましょう。

除草剤 除草剤

水溶性の除草剤は、代掻きの後に水に撒きます。
水面に薄い膜ができ、ゆっくりと効いていきます。

 

2-3. 代掻きの当日の手順

代掻きの当日の大まかな流れは次のようになります。

(1)肥料、除草剤を適量撒く
(2)トラクターを田に入れて掻いていく
(3)トラクターでは掻けなかった四隅や凹んだ所をアルミレーキでならす
(4)田の状態をみて足りないところや偏りのあることろをさらに掻いていく

代掻きの様子

細かなコツや注意点については、次の章で詳しくご説明します。

 

3. 失敗しないための代掻きの7つのコツ

代掻きの大まかな流れは、先の章でご説明しました。

ここでは、初心者がつまづきそうな点を確認しつつ、失敗しないためのコツをご説明します。

3-1. 水の量は、土が8割ほど水面から出る程度がちょうど良い

代掻きに適した水の量は、表面の8割が土で、残り2割が水に浸かっているぐらいです。

理由は次の通りです。

(1)表面が確認しやすく、代掻きを均一にできる
(2)肥料や除草剤が田の外に流出しにくい

(3)ワラなどの水に浮きやすいものでも土中に沈めることができる

(4)水が少なくて済む

 

3-2. 水の量の調整が必要な場合は所要時間に注意する

水門

水の量を調整する必要がある場合は、調整にどのくらい時間がかかるか把握しておきましょう。

田の状態に応じてどうしたらよいかは、次のとおりです。

田が用水路に接していて水門があるかどうかで所要時間が変わってきます。

代掻き前の田の状態 水門がある
(用水路あり)
水門がない
(用水路なし)
水が必要な水位に足りない 入水門や排水門を開けるだけで済む
※ただし水利組合への確認が必要
隣の田と調整と相談が必要
※水を入れるのも抜くのも時間がかかる
水が必要な水位より多い

特に用水路に接していない場合は、水だけではなく肥料や除草剤も隣の田に流れていくので注意が必要です。

3-3.  ハローがあるならつけた方がいい|なければロータリーでも大丈夫

ハロー

ハローは土を下に抑え込んで均す(ならす)レーキの役割も備えています。

ハローとは、トラクターにつける代掻き専用のアタッチメントのことです。

ハローの役割は、耕すだけでなく土を下に抑え込む機能があります。
仕上げの代掻きにおいては、土面をきれいに均す(ならす)ことができます。

つまりハローを用いて代掻きすると、田植えのときに均一に植えることができ、苗の活着も良くなります。

ただ、高価ですし、取り付けも大変です。

ハローがない場合はロータリーで代用する

ロータリー

ロータリーのアップです。これで土を砕いて進みます。

ハローが無ければトラクターに標準でついているロータリーでも構いません。
ただし土を混ぜる事しかできないのでハローほどにはきれいになりません。

3-4. 代掻きの基本的なコース取りとその決め方

基本的な代掻きのコース

代掻きのコース取りは田の形によって様々です。

具体例として、一般的な長方形の田の場合のルートは下図のようになります。

 

代掻きコース

まず外周を整備してから内側に移ります。

 

コース決めの考え方

代掻きは田植えと違って同じ場所を通ることができます。
(田植えの場合、苗を植えた部分はもう通れません。)

外周をまわってから内側に移るのがオーソドックスです。

ただ、田の形は様々です。
凹凸があったり、土が盛り上がったりしていることもあります。
そういった部分は重点的に掻く必要があります。

ただ気を付けておくべきことは、爪の回転で土がどの方向に飛ばされるかです。
正回転だと土を後ろに飛ばすので、後ろ側で土が盛り上がりやすくなります。

うまくコース取りしないと、端(外周)の土が高く盛り上がってしまいます。

最も良いコースを自分で見つけ出しましょう。

3-5. 「枕地」はあきらめずにつぶしておくこと

枕地の画像

「枕地」とは四隅や窪んだところにできる土の山です。

トラクターは構造上小回りがきかないので、「枕地」は必ずできてしまいます。
これをつぶすには、ロータリーを逆回転にしてバックするなどの工夫が必要です。
それ故「枕地」をつぶすのは時間がかかります。

ですが、「枕地」をあきらめて放っておくと、次のような事態となります。

「枕地」を放っておいてはいけない3つの理由

(1)そこだけ水に浸からず雑草が生える
(2)雑草から害虫や病気が発生する
(3)コンバインが通れなくなる

後々さらに悪影響がでますので、頑張ってつぶしてしまいましょう。

かなりつぶせました

枕地をかなりつぶせました。

3-6. 代掻きに使うトラクターの速度は時速2~4km

トラクターのシフト

トラクターのシフトレバーは複雑ですね。。。

代掻きの速度はだいたい時速2~4kmです。

代掻きのスピードに注意 どうなる?
スピードが速すぎると… 土が十分に砕けない
田植えの際に苗が刺さりにくくなる
スピードが遅すぎると… 土が細かくなりすぎる
土が柔らかくなりすぎる
田植えの際に苗が安定しない

さらにPTOを通じて爪の回転速度も調整が必要です。
(※PTOとはトラクターのエンジンからアタッチメントへ動力を伝える部分のことです。)

最適速度はトラクターの性能やアタッチメントの種類によっても異なります。

取扱説明書などを参考にして、ベストな速度を見つけましょう。

3-7. 肥料・除草剤は地元の農協や近隣農家さんに相談する

肥料や除草剤の量は地域によって様々です。

特に除草剤は周りの田への影響も考えなければなりません。
必ず地元の農協や近隣農家さんに相談して、適切な量を適切な時期に施しましょう。

肥料・除草剤を自分で決めてはいけない4つの理由

(1)調整が難しいので、長年その地域でやってきた人を参考にするのが一番良い
(2)使い過ぎた場合、水が隣の田へ流れこんだり大雨で付近一帯に広がった場合に多大な迷惑をかけてしまう
(3)少な過ぎると害虫や病気を発生させてしまい、やはり周りに迷惑をかけてしまう
(4)農薬取締法で「対象」「用途」「使用量」「用法」が厳密に定められている

また地域によっては除草剤の散布スケジュールを作成しているところもあります。
市区町村の農業委員会などに相談してみるのもよいでしょう。

参考:下の画像は、JA奈良が公開している『水稲標準除草体系』です。画像をクリックするとPDFが表示されます。

水稲標準除草体系

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。

この記事では、代掻きについての次のような重要なポイントをご紹介しました。

(1)なぜ代掻きが大切なのか

(2)代掻きをすることで得られる7つのメリット

(3)代掻きをサボることで起こる5つのデメリット

(4)代掻きをする時期・回数と手順

(5)代掻きにあたって準備しておくこと

(6)失敗しないための代掻きの7つのコツ

代掻きは、次の行程である田植えの良し悪しを左右するだけでなく、その後の稲の成長にも大きく影響します。
稲作全体の中でも特に重要な作業です。

ぜひ正しい知識とノウハウを身に着けて、確実な代掻きをおこなってください。

あなたの農業に関するお困りごとの解決の一助になれば幸いです。

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