この記事を読もうとされている方は、少なからず農家になることに興味を持たれていることと思います。
でも農家になることに対して次のような疑問や不安をお持ちではありませんか?
・何から始めたらいいかわからない
・どんなライフスタイルになるんだろう
・補助金があるなら知りたい
・何か資格を持っておいた方がいいのかしら
そこでこの記事では、農家をめざしながらもいろいろ迷っている方に対し、次の6つのことを解説します。
(1)農家になるには絶対知っておくべき重要ポイント
(2)農家とサラリーマンとの違い
(3)農家で成功するためにまず明確にしておくこと
(4)失敗しない農家になるための心得
(5)農家になる際によくある質問
(6)農家の未来
私たち「農地コンシェルジュ」は農業法人を立ち上げ、農業に関するたくさんのノウハウを蓄積してきました。
その経験をもとに、これから農家になろうとされている方に、できる限りの情報をお伝えしたいと思います。
最後まで読んで頂くことで、農家になることに向け、きちんと段取りを踏んで確実に進めていくことができるようになります。
そして自分のライフスタイルにあった農家となって、やりがいを感じる健康的な農家生活を送れるようになるでしょう。
あなたの人生の重要な選択に、少しでもお役にたてれば幸いです。
目次
1. 農家になるには絶対知っておくべき6つの重要ポイント
この章では、農家になる際に知っておくべき6つの重要ポイントをご紹介します。
まず、農家になるには、いろいろなものを準備しなければなりません。
(1)お金
(2)道具・機具・機械
(3)農地
(4)農地から近い住居
(5)相談相手
(6)資格
絶対必要なものもあれば、持っていれば便利なものもあります。
それらを優先順位をつけてご説明します。
この章を読むことで、農家になるために必要なものや、知っておいたほうがよいものがわかります。
1-1. 農家になるにはお金が必要|交付金・融資を有効活用しよう
収入が得られるまでの期間(できれば3年分)の生活費を確保
農業をはじめても、すぐに収入が得られるわけではありません。
作物が育つのには時間がかかるからです。
また、収穫できたからと言ってすぐに売れるとは限りません。
販売できる品質のものがつくれるようになるには、少なくとも2、3年はかかるからです。
それまでの間の生活費は確保しておく必要があります。
できれば3年分確保しておきたいところです。
農業に必要なものを揃えるための準備資金も必要
農業をするには様々なモノが必要です。
手に取って使う道具から農業機械、さらには大型園芸施設まで様々です。
モノが整えば、それだけ大規模化できますし効率化も可能です。
ただし、それらを揃えるには準備資金も必要です。
はじめにしっかりとした資金計画をたてておきましょう。
新規就農時にもらえる交付金あり!年間最大150万円!活用しないともったいない!
これから農業をはじめる人に対し、金銭的な面で支援してくれる制度があります。
「農業次世代人材投資資金」というものです。
以前は「青年就農給付金」と呼ばれていました。
年間最大150万円はこれから農業をはじめようとする方にとっては非常に心強い制度です。
ただ、お金をもらうためには幾つか要件があります。
詳しくは次のリンクを参照ください。
「農地コンシェルジュ 農業次世代人材投資資金」へリンク
国・自治体・日本政策金融公庫の融資制度を活用しよう
新規就農者向けに様々な融資制度が用意されています。
代表的なものとしては日本政策金融公庫の「青年等就農資金」があります。
無利子で、限度額3700万円まで借りることができます。
大型農業機械の購入や施設園芸をお考えの場合はご検討ください。
詳しくは下記を参照ください。
1-2. 農家になるには道具・機具・機械が必要
農家になるために主なものを簡単にまとめました。
参考にしてください。
名称 | 用途 | 概算 | |
鍬(クワ)、鋤(スキ)、鎌(カマ)など | 農業の基本的な道具です | ~数千円程度 | |
草刈り機 | 農地は雑草対策が必須です 電動式が静かで使い易いです |
1万円 ~3万円程度 |
|
噴霧器 | 肥料や農薬を撒くのに使います 手動・電動いろいろあります |
5千円 ~2万円程度 |
|
一輪車 | 田畑の畝(うね)や畔(あぜ)では一輪車が必須です | 5千円 ~1万5千円程度 |
|
軽トラ | 農作物を運ぶだけでなく、農機具を運んだりするのにも使います | 100万円前後 | |
トラクター | 田畑を耕すのに使います 農地が大きくなると必要です |
100万円 ~1000万円程度 |
|
田植機 | 稲を植えるのに使います | 200万円 ~500万円程度 |
|
コンバイン | 稲を刈るのに使います 一度に何条刈れるかで価格が大きく変わります |
200万円 ~1500万円程度 |
1-3. 農家になるには農地が必要|プロが教える農地の選び方3つのポイント
農地を価格だけで選ぶのは絶対NG!
農地の価格は宅地に比べるととても安いです。
自分が農地を買うつもりで準備した予算より、はるかに大きな農地が買うこともできるかもしれません。
しかし、農地は土地の大きさだけに目を奪われてはいけません。
大切なのはその環境・立地条件です。
農地そのものの条件としては、「水はけ」と「風通し」の良いのがgood!
農地そのものの条件としては、「水はけ」と「風通し」の良いのがgood!です。
栽培する作物にもよりますが、水はけと風通しが良いにこしたことはありません。
逆に農地の条件が悪いと耕作放棄となるしかない場合もあります。
田園風景が一面に広がっている農村地帯で、一部だけ耕作されていない土地を見つけることがあります。
それはすなわちこういう条件の悪い土地かもしれません。
例えば下の写真は普通の農地です。
でもよく見ると、水面が見えませんか?
ほとんど「沼地」状態です。
このような条件の悪い土地は、どうにもなりません。
農地が安く売りに出ているのには「訳」があるかもしれません。
ご注意ください。
農地の立地条件としては「接道」していることが大事
農地の立地条件としては「接道」しているか、つまり道に面しているか否かで大きな差があります。
接道していれば農業機械などを運び込むのにも直接入ることができます。
軽トラが通れる程度の道でも十分です。
逆に接道していなければ、毎回お隣の農地を横切らせてもらわなければなりません。
それだけでも気分的&時間的なストレスを感じます。
もし隣の農地で田植が始まってしまったら、もう入ることすらできません。
接道しているかどうかは本当に大事です。
個人が農地を取得するためには、下記の要件をすべて満たす必要があります。
(1)農地のすべてを効率的に利用すること
(2)必要な農作業に常時従事すること
(3)一定の面積を経営すること
(4)周辺の農地利用に支障がないこと
農水省HP|個人が農業に参入する場合の要件
詳しく知りたい方は下記を参照ください。
1-4. 住居の理想は農地の隣!せめて軽トラで10分以内の農地を選ぶべき3つの理由
理由(1) 交通費という概念がない|お昼ご飯は家に食べに帰る
サラリーマンであれば、職場がどれだけ遠くても通勤交通費は支給されると思います。
しかし農家には交通費などという考え方はありません。
農地が遠いとそれだけ余分にコストがかかります。
午前中の農作業が済んだら、お昼ご飯は家に食べに帰ります。
真夏なら涼しくなってから再び農作業に向かいます。
農地がいくつもある場合、それぞれが離れていては移動に時間がかかって大変です。
まして渋滞にひっかかるなどもってのほかです。
何度も行き来するわけですから、農地は近いにこしたことはありません。
理由(2) 家族やまわりの人に手伝ってもらいやすい
風邪をひいたり体調が悪くなることは誰でもあります。
農作業に出られないこともあるわけです。
家族やまわりの人に応援を頼みたいこともあります。
大変な作業は遠慮するにしても、水やりやビニールハウスの換気ぐらいならお願いしたいところです。
そんなとき家族が運転免許を持っていなかったらどうでしょう。
軽トラで10分で行けるところ、自転車なら20分、徒歩だと1時間近くかかります。
農地に出向いてもらうだけでも一仕事です。
安易に頼めるものではありません。
収穫時期などはたくさんの人に手伝ってもらうこともあります。
そんなときも農地が遠いと、連れて行くだけで一苦労です。
お手洗いに行きたい人が出てくるたびに、近くのトイレまで往復しないといけません。
理由(3) 異変に気付きやすく、緊急時にすぐに対応できる
農地の近くに住んでいれば天候の異変にも気付きやすいです。
家にいて感じた気候の変化も、そのまま農地にあてはまります。
家付近で雨が降れば、農地も雨が降っているかもしれません。
朝、肌寒く感じたら、農地も同じ気温になっていることでしょう。
それが農地まで軽トラで30分もかかるとしたら、距離にして15~20kmぐらいは離れます。
もはや天候は別のものと考えた方がよいでしょう。
家で感じた天候はあてにならず、農地に行ってみないとわかりません。
特に台風や、ゲリラ豪雨、突風などの異常気象の際は要注意です。
ちょっと気になるからといってもすぐには様子を見に行けません。
「ひとっ走り様子を見てくる」ことができないと、対応が遅れて大きな被害につながることもあります。
農地の隣に住居があるのが理想です。
それが無理でも近いにこしたことはありません。
1-5. ところ変わればトラブルも変わる!困ったときに相談できる窓口を確保
わからないとき先輩農家からのアドバイスは有り難い
会社であれば上司部下や先輩後輩など「教え教えられ」の関係があると思います。
業務によってはマニュアルもあり、問い合わせ窓口もはっきりしていることでしょう。
しかし農家は普通、何かあっても自分で解決しなければなりません。
またトラブルの内容も、お決まりのものとは限りません。
その時期に、その土地で、その作物に起こったトラブルは、それ特有のものです。
ネットで解決方法を調べても当てはまるとは限りません。
やはり、その地元で、その作物を長年栽培してこられた先輩農家さんのアドバイスは貴重です。
自分が気付かなくても先輩農家が異変に気付いて教えてくれる
慣れないうちは作物の異変に気付かず、手遅れになってしまうこともあります。
そんな時でも先輩農家さんが気付いてくれて、アドバイスをくれるかもしれません。
また「今年はこういった病気が流行っているから、この対策が有効やで」などと、先回りした情報を教えてくれることもあります。
ぜひ、親身に相談できる先輩農家さんと良い人間関係を築いておくことをお勧めします。
1-6. 農家になる際にあると便利な資格7選
農家になる際にあると便利な資格をいくつかご紹介します。
資格 | 内容 | 問合せ先 |
---|---|---|
自動車免許 | 軽トラは必需品なので、免許はあった方がいいです。 トラクター(4.7m以下)で公道を走る場合も免許があれば大丈夫です。 |
運転免許センター |
日本農業技術検定 | 農業に関するスキルを客観的に評価されます。 農業関係企業等への就職に有利です。 |
全国農業会議所 |
日本農業検定 | 農業や環境、食などに関する基礎知識の確認試験です。 受験を通じて様々なことが学べます。 |
日本農業検定 |
農業簿記検定 | 農業独特の税務・会計知識についての検定資格です。 農業にも経営の感覚が必要です。 受験を通じてこういったスキルを高めましょう。 |
日本ビジネス技能検定協会 |
農薬管理指導士 | 農薬の取り扱いについて適正な助言・指導を行えます。 各都道府県で研修が行われた後、認定試験を受けます。 農薬に関する正しい知識も農業には必須です。 |
各都道府県HP |
農業機械士 | 農業機械に関する認定資格です。 農業機械のメンテナンスを自分でできるようになります。 各都道府県で研修が行われた後、認定試験を受けます。 機械にトラブルがあるとその日の農作業が完全に止まってしまうこともあるので、持っておくと安心です。 |
各都道府県HP |
土壌医検定 | 土づくりについての知識・技術の検定試験です。 土壌管理から土質の診断、改善まで行う土に関するスペシャリストです。土壌の知識が高いと、作物が思うように育たないときに解決の糸口が広がります。 |
土壌医検定試験 公式サイト |
この資格がないと農家になれないというものはありません。
しかし、あると便利な資格はたくさんあります。
時間の許す限り積極的に資格取得に励みましょう。
自動車免許は、農業に関する資格ではありませんが絶対!必須!!です。
トラクターやコンバイン(※)を農地で使う場合、免許は要りません。
しかし公道を走る際には免許が必要です。
免許がないまま走ると無免許運転になります。
農機具小屋と農地が隣接しているとは限りません。
農業機械を現地まで動かすのに、乗って移動するにせよ、軽トラで運ぶにせよ、自動車免許は必要になってきます。
(※)なお、4.7m以上の農機は大型特殊自動車になりますので、大型特殊免許が必要です。
2. 一覧表でわかる!農家とサラリーマンを13項目で徹底比較
次の一覧表は農家とサラリーマンの違いをわかりやすくまとめたものです。
農家もサラリーマンも規模や職種によって様々なので、厳密な比較は難しいです。
あくまで平均的な像を比べていますので、参考程度にしてください。
農家 | サラリーマン | |
---|---|---|
平均年収 | 623万円(※1) (農業経費を差し引いた農業所得は191万円) |
532万円(※2) (男性正規社員の平均給与) |
休暇 | 不定期で有給無し (閑散期や雨天等が休日) |
定期的で有給あり (週休二日) |
自由時間 | すべて自分次第 | 勤務時間以外は自由 働き方改革で増える傾向 |
通勤 | 通勤という概念がない | 公共交通機関 片道平均1時間~1時間半 |
住居 | 農家住宅 親と同居や譲り受け |
賃貸 ローンを組んで夢の一戸建て |
ストレス | 作物が思うように育たない 自然の猛威によるダメージ |
組織の上下関係、取引先、ノルマ |
責任と裁量 | 良くも悪くも自分次第 | 職位に応じて給与と連動 |
人付き合い | 地域コミュニティ | 社内・取引先等いろいろ |
健康管理 | 自己管理 体は動かすが腰痛等あり |
会社で健康診断 余暇で体力づくり |
保障 | 国民健康保険 収入保険など |
会社の福利厚生制度 |
定年 | 体力の続く限り 体力に比例して収穫減 |
60歳から65歳への移行期 給与半減で再雇用 |
年金 | 国民年金 | 企業年金 |
安定度 | 自然との戦い 価格の相場に左右される |
会社・業界によるところが大きい |
(※1)農林水産省HP|平成29年経営形態別経営統計(個別経営)の調査結果
(※2)国税庁HP|平成29年分民間給与実態統計調査結果の男性正規社員の平均給与
サラリーマンは、安全・安定と引き換えに窮屈な感はあります。
給料と権限・裁量が連動しているのが最も端的な特徴です。
一方農家は、ほぼ自由ですべて自己責任です。
自由が故に、すべてのことをきちんと自己管理していかなければなりません。
それを良いと感じるか、不安に思うかは本人次第です。
3. 農家で成功するにはまず目指すライフスタイルを明確にしよう
この章では、農家になるにあたって決めておきたい「ライフスタイル」をご説明します。
もし農家になろうとした理由が「サラリーマンが嫌だから」とか「自然や田舎に憧れて」というだけだと、あとあと後悔するかもしれません。
ぜひ、目指すべきライフスタイルを明確にすることをお勧めします。
そうすれば日々のモチベーションも大きく変わるでしょう。
3-1. 年収? 自由? やりがい? 何をもって成功とするか
高収入で、自由な時間がたくさんあって、やりがいもあり、ストレスなく過ごせるというのは理想です。
でもそれらをすべてやみくもに追い求めていては、現実的な答えはなかなか見つからないと思います。
それは農家であろうがサラリーマンであろうが同じことでしょう。
農家になろうと動き出す前に、まず自分にとって「成功」とは何かを具体的な数字で明確にしましょう。
そして何を最優先にしたいかを考え、優先順位を決めて整理することをお勧めします。
「年収」「自由」「やりがい」の3つの尺度で整理すると、例えば次のようなものが考えられます
めざすもの | 選択肢 | メリット | デメリット |
---|---|---|---|
年収 | 施設栽培 等 |
高収益栽培を目指せる | 初期投資やランニングコストが高い 栽培が難しく手がかかる |
自由 | 稲作 等 |
田植えと稲刈りの時期以外はほとんど手がかからない | ある程度の規模がないと成り立たない |
やりがい | 有機栽培 無農薬栽培 等 |
人にも環境にも優しいことをしているという自負が得られる | 栽培が難しく収量も不安定 |
※作物によっても様々ですので、参考程度にお考え下さい。
3-2. 結局はライフスタイルと価値観次第
もしまだ漠然としているようであれば、次の2つの基準で考えてみてはいかがでしょうか。
・どういうライフスタイルで過ごしたいか
・人生において何に最も価値を感じるか
例えば、次のよう目標をもったとします。
・「子供たちに安全な野菜を食べさせてあげたい」
・「ほっぺが落ちそうなほど美味しいイチゴを栽培したい」
・「大きな投資で設備を整え、高収益をあげたい」
これを叶えるには、リスクが高かったり、コストがかかりすぎたりといったことが心配されます。
そのストレスにどこまで耐えられるか、失敗したときにどこまで許せるかです。
そのバランスを考えたうえで、目指すべきライフスタイルを描いてみましょう。
きっと自分にとっての成功する農家像が見えてくることと思います。
ライフスタイル | ||
価値観 |
4. 失敗しない農家になるための3つの心得
この章では、農家になるにあたって失敗しないための3つの心得をご紹介します。
農家はサラリーマン以上にコミュニケーションが大切な場面があります。
また人件費のコスト意識も非常に重要です。
この章を読むことで、農家になるためのステップをスムーズに進めるようになります。
4-1. コミュニケーションの重要性を理解する
農家はコミュニケーションが大切です。
端から見れば農家の方々は一人黙々と農作業をしているイメージがあります。
しかし、実際にはそうではありません。
いろんな情報交換をしながら日々過ごしておられます。
また畔の草刈りや水路の一斉掃除など、地域で協力しあう作業もたくさんあります。
水利組合や自治会などの集まりもあります。
これから農家になろうとするのであれば、周りからいろんなことを教えてもらうことになります。
ぜひ地域の方々と積極的にコミュニケーションをとっていきましょう。
4-2. 人件費と移動時間のコストを無視してはいけない
農業では人件費は無視されがちです。
しかし、農家になるには、人件費は常に意識した方がいいです。
何故なら農業経営において人件費は、経営が成り立つかどうかを左右するからです。
その中でも特に注意が必要なのが「移動時間」です。
これは家から農地までの移動時間だけを指してるわけではありません。
あらゆる移動時間が対象です。
例えば、次のような行動をどう思われますか。
・クワを小屋に取りに行ったあと、畝(うね)まで歩く
・トラクターを軽トラからおろして農地まで移動させる
・収穫物をカゴに入れて軽トラまで運ぶ
どれも農業をしている気になるでしょう?
でもどれも本当の意味での農作業ではありません。
単なる移動時間です。
「生産性」はありません。
農業には「持ち上げる、運ぶ、おろす」だけの作業がたくさんあります。
こういった直接生産に結びつかない作業をできるだけ減らせるよう工夫するのも大切です。
4-3. 家族の協力を大切にする
農業を続けていくには家族の協力が欠かせません。
農業を一人だけで続けるのは難しいのです。
一人では作業できないこともたくさんあります。
例えばビニールシート貼りや荷物の運搬などは、二人でやればすぐにおわります。
また、体調が悪い時やケガをしている時は、家族の助けがなくてはやっていけません。
台風や天候不良で栽培が不調な時も一人だと気が気でありません。
精神的にもきついです。
でも、相談したり共感できる相手がいれば精神的ダメージもやわらぎます。
作物が順調に成長してくれれば喜びを分かち合うこともできます。
家族の協力は本当に大切です。
5. Q&A|農家になろうとする際によくある10の質問
この章では、農家になる際によくある質問をご紹介します。
農家になるにあたっての細かな疑問点を解消できることと思います。
Q1: 農家になるにはどのくらいの資金準備が必要ですか
A: 収入が得られるまでの期間(できれば3年分)の生活費は確保しましょう。
また農業に必要なものを揃えるための準備資金も必要です。
ただし、これは栽培作物によって異なります。
詳しくは「1-1. 農家になるにはお金が必要|交付金・融資を有効活用しよう」を参照ください。
Q2: 農家になるのに補助金はもらえますか
A: はい
代表的なものに「農業次世代人材投資資金」というのがあります。
一定の要件を満たせば、年間最大150万円もらえます。
詳しくは「1-1. 農家になるにはお金が必要|交付金・融資を有効活用しよう」を参照ください。
Q3: 農家になる際の失敗しないポイントは何ですか
A: 主に次の3つことがあげられます。
・コミュニケーションの重要性を理解する
・人件費と移動時間のコストを無視してない
・家族の協力を大切にする
詳しくは「4. 失敗しない農家になるための3つの心得」を参照ください。
Q4: 脱サラして農家になる際に気を付けることは何ですか
A: 細かなことを一つ一つサラリーマン時代と比較しないことです。
サラリーマンと農家はライフタイルが全く違います。
農家に「転職」するような気持ちで飛び込むのはお勧めできません。
自分のライフスタイルと価値観をもとに何を一番大切にしたいかを考えてから行動に移してください。
詳しくは「3. 農家で成功するにはまず目指すライフスタイルを明確にしよう」を参照ください。
Q5: 農家になるには何歳までが良いですか
A: 特に年齢制限はありません。
体力的・精神的に自信があればいつからでも始められます。
ただ最も有用な交付金である「農業次世代人材投資資金」の要件に50歳までに農業をはじめることというのがあります。
交付金を望まれるのであれば、そういったことにも注意しましょう。
詳しくは「1-1. 農家になるにはお金が必要|交付金・融資を有効活用しよう」を参照ください。
Q6: 農家の平均年収はどのくらいですか
A: 一概には言えませんが、農林水産省の統計によると623万円となっています。
ただし、農業経費を差し引いた農業所得は191万円です。
人件費などのコストは含まれていませんので、あくまで参考値としてください。
詳しくは「2. 一覧表でわかる!農家とサラリーマンで決定的に異なる13のこと」を参照ください。
Q7: 農地を選ぶ際のポイントは何ですか
A: 農地の状態や立地条件を重視して選んだ方がよいです。
特に次の条件は大切です。
・農地の状態としては「水はけが良く、風通しが良い」こと
・農地が接道していること
逆に価格は安くても上記の条件が悪いとあまりお勧めできません。
詳しくは「1-3. 農家になるには農地が必要|プロが教える農地の選び方3つのポイント」を参照ください。
Q8: 住居を選ぶ際に注意点はありますか
A: できれば、農地に隣接していることが理想です。
それが無理でも、少なくとも軽トラで10分以内をお勧めします。
詳しくは「1-4. 住居の理想は農地の隣!せめて軽トラで10分以内の農地を選ぶべき3つの理由」を参照ください。
Q9: 農家になる際の相談窓口はありますか
A: はい
代表的なところでは「全国新規就農相談センター」というのが、各都道府県に設定されています。
新規就農者希望者にむけて農地の確保に関する情報や、就農セミナー、相談活動を行っています。
詳しくは次のリンクを参照ください。全国新規就農相談センター
Q10: 農家になるのに必要な資格はありますか
A: これがないと農家になれないというような資格は特にありません。
ただ、あると有用な資格はたくさんあります。
代表的なものに次のようなものがあります。
・日本農業技術検定
・日本農業検定
・農業簿記検定
・農薬管理指導士
・農業機械士
・土壌医検定
詳しくは「1-6. 農家になる際にあると便利な資格7選」を参照ください。
Q11: 農家になるにはどんなモノが必要ですか
A: 鍬(クワ)、鋤(スキ)、鎌(カマ)など道具類から、草刈り機、噴霧器などの器具類、さらにはトラクターやコンバインなどの農業機械など様々な必要になります。
どういった作物を育てるかによっても異なります。
詳しくは「1-2. 農家になるには道具・機具・機械が必要」を参照ください。
6. 農家の未来は明るい|熟練農家のノウハウは今後ますます貴重になる
この章では、農家の未来についてご説明します。
農業は高齢化と新規就農者不足により、農業人口が減少の一途をたどっています。
またIT化だけでは追いつかないノウハウもあるようです。
この章を読むことで、あなたが将来どういった農家を目指すべきかのヒントが得られることと思います。
6-1. 農家の人手不足はますます深刻化していく
日本の農業人口はますます減少の一途をたどっています。
高齢でリタイアする人が増える一方で、新規で就農される方は少ないため、追いついていません。
一旦就農されても、長く続かず離農される方も多いのが実情です。
一方で日本の食料自給率は低下し、深刻な問題となっています。
平和な世であれば輸入に頼ることもありかもしれませんが、有事になると輸入が途絶え孤立してしまいます。
6-2. IT化だけでは引き継げない農業のノウハウ
農業のIT化が進んでいます。
それ自体はすばらしいことですが、農業にはIT化だけでは引き継げないノウハウもあります。
どうしてもマニュアル化できない部分があります。
それは長年その土地で農業されてきた経験です。
こういった状況を考えると、この先、ノウハウをもった熟練農家がますます貴重となる時代がくることは間違いありません。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
この記事では、成功する農家になるために次のことをご説明しました。
(1)農家になるには絶対知っておくべき重要ポイント
(2)農家とサラリーマンとの違い
(3)農家で成功するためにまず明確にしておくこと
(4)失敗しない農家になるための心得
(5)農家になる際によくある質問
(6)農家の未来
農家になることに疑問や不安になることもあるかと思います。
でも、一つずつ丁寧に考えていけば、確実に進めることができるでしょう。
補助金や様々な支援制度を活用しながら、あなたの思い描く農家をめざしてください。
その先には、きっと理想のライフスタイルが見つかるはずです。
あなたの人生の重要な選択に、少しでもお役にたてれば幸いです。