必読!ビニールハウスの耐用年数を決める3つの基準|減価償却の解説

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確定申告の際に、ビニールハウス耐用年数がわからずお困りではありませんか?
あるいは農業法人の決算で、減価償却の計算ができずにお困りではありませんか?

ビニールハウスの耐用年数は一律ではなく条件によって異なるため、お困りになるのももっともです。

そこでこの記事では次のことをご説明します。

・一般的な農業用ビニールハウスの耐用年数
・様々なビニールハウスの耐用年数を判断する基準
・「ビニール」の耐用年数

この記事を読むことで、あなたのビニールハウスの耐用年数がわかるようになります。
そうすると最適な減価償却の計算ができ、農業の経営状態もわかるようになります。

あなたの実りある農業経営の参考にして頂けたら幸いです。

1. 一般的な農業用ビニールハウスの減価償却の耐用年数は10年

この章では、ビニールハウスを減価償却する際の耐用年数について説明します。

一般的な農業用ビニールハウスの耐用年数は10年です。
ただし幾つかの基準があり、すべてのビニールハウスが一律でそれにあてはまるわけではありません。
それぞれの基準を正しく理解し、自分で判断する必要があります。

この章を読むことで、あたなのビニールハウスの耐用年数が何年かを判断できるようになります。

1-1. 一般的なビニールハウスの耐用年数は10年

一般的なビニールハウス

一般的なビニールハウスの耐用年数は10年

一般的なビニールハウスの耐用年数は10年です。
おそらく大半のビニールハウスがこれにあたるでしょう。

具体的な条件を整理しますと次のようになります。

【耐用年数が10年になる場合の条件】
(1)「構築物」にあたらない(簡単に組み立て・解体ができる)
(2)ボイラーなどの栽培器具は導入しない、あるいは導入するとしても減価償却を別々におこなう
(3)主な骨格がスチール製パイプ

構築物とは】
「構築物」とは、土地の上に建てられた建物以外の工作物をいいます。
また「工作物」とは材料を加工して組み立てたものです。
つまり「構築物」とは、基礎などで地面にしっかり固定されていて、簡単には解体したり移動できないようしっかり組み立てられたものです。

この点、一般的なビニールハウスはパイプを地面に突き刺しただけの構造です。
季節が過ぎれば解体して納屋にしまっておくこともできます。
ビニールも随時張替え可能です。
そのようなビニールハウスは「構築物」にはあたらないと解釈されます。

1-2. ボイラーなど「栽培器具を併せて導入」し、「まとめて減価償却を行う」場合の耐用年数は7年

ボイラー

栽培器具を併せて導入し一括で減価償却する場合の耐用年数は7年

「構築物」にあたらない場合で、さらにボイラーなどの栽培器具を導入し、あわせて減価償却を行う場合は「機械及び装置」となり耐用年数は7年になります。

整理しますと次のようになります。

【耐用年数が7年になる場合の条件】
(1)「構築物」にあたらない(簡単に組み立て・解体ができる)
(2)ビニールハウスを建てると同時に、恒温装置やボイラー・給排水ポンプ等の栽培器具を併せて導入する
(3)それらの装置も含めて一括して減価償却を行う

1-3. 「構築物」にあたる場合は主要部品の材質で異なり、金属製なら14年

構築物

「構築物」にあたる場合で主要部品の材質が金属製なら14年

「構築物」にあたる場合、骨格部分の主な材質によって耐用年数が次のように異なります。

骨格部分の主な材質 耐用年数
金属製 14年
木造 5年
その他 8年

「構築物」に分類されるだけあって、つくりが頑丈です。

鉄骨で組まれているものが多く、容易に解体・移動できるものではありません。

1-4. 農業用ビニールハウスの耐用年数のまとめ

これまで説明してきた農業用ビニールハウスの耐用年数を、一覧表にまとめると次のようになります。

勘定科目 骨格部分の主な材質
金属製 木造 その他
構築物 14年 5年 8年
機械及び装置 7年
器具及び備品 10年 5年

国税庁のホームページにも同様の内容が載っていますで、参考にご紹介します。
国税庁HP|ビニールハウスの耐用年数

2. ビニールハウスの「ビニール」の耐用年数は本体にあわせるのが基本

この章では、ビニールハウスを覆う「ビニール」の耐用年数についてご説明します。

ビニールハウスに使用する「ビニール」の価格は、全体の10~15%を占めます。
決して安いものではないため、きちんと会計処理すべきところです。

この章を読むことで、「ビニール」は減価償却ができるのか、できる場合の耐用年数は何年かがわかるようになります。

2-1. ビニールハウスを建てたときの「ビニール」は、本体の減価償却に含める

ビニールハウスのビニール

ビニールハウスを建てたときの「ビニール」は本体の減価償却に含める

ビニールハウスを建てたときに同時に張った「ビニール」は、本体に含めて減価償却します。
耐用年数や勘定科目も本体と同じです。

詳しくは1章を参照ください。

2-2. 張り替えた「ビニール」を減価償却するか否かは、グレードアップしたかどうかで判断する

グレードアップした場合

張り替えたビニール

ビニールを張り替えたことで性能が著しく向上したら、資産計上して減価償却する

張り替えた「ビニール」を減価償却するか否かは、ビニールの張り替えで全体がグレードアップしたかどうかで判断します。

以前より高品質なものに張り替えたことでビニールハウスの性能が著しく向上した場合は、資産として計上し減価償却することになります。

高品質なビニールは高額ですので、張り替えた年にすべて費用処理するのは厳しいことでしょう。
資産計上することで何年かに渡って償却できれば、農業経営の安定化に資するというメリットがあります。

耐用年数や勘定科目は、1章で説明した内容と同じになります。

 

同程度のビニールに張り替えた場合

破れたビニール

破れたり経年劣化して同程度のビニールに張り替えた場合は「修繕費」

 

一方、破れたり経年劣化したりして同程度のビニールに張り替えた場合は、「修繕費」として処理します。

修繕費とすることで、単年度で会計処理が完結するというメリットがあります。

新品のビニールに張り替えたということは、ビニールハウス全体が新品になったも同然です。
そのため、安価なビニールを毎年張り替える農家さんもおられます。

2-3. ビニールハウスの「ビニール」の会計処理のまとめ

以上をまとめると、次のようになります。

局面 張り替えの効果 会計処理 メリット
建てたときのビニール 本体に含めて減価償却 高額な費用を分散できる
張り替えたビニール 張り替えによりビニールハウスの性能が著しく向上 資産として計上し、減価償却 高額な費用を分散できる
同程度のビニールの張り替えによる原状回復 修繕費として費用処理 会計処理が簡単

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。

この記事を読むことで、次のことがご理解できたかと思います。

・一般的な農業用ビニールハウスの耐用年数
・様々なビニールハウスの耐用年数を判断する基準
・「ビニール」の耐用年数

ビニールハウスを建てることは、あなたにとってとても大きな投資だと思います。

最適な減価償却の計算方法を知ることで、農業の経営状態もわかるようになります。

あなたの実りある農業経営の一助になれば幸いです。

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