農業で融資を受ける!審査の3ステップから主な融資7選と有利な条件

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農業で融資を受けたいとお考えのあなたは、次のことでお困りではありませんか。

・農業で本当に融資してもらえるのか知りたい
・融資が可能ならその種類や手続方法が知りたい
・融資の審査で必須の条件や注意点が知りたい

融資が受けられるかどうかで今後の営農に大きく影響するので、不安になるのももっともです。

しかし、正しい情報を理解すれば、それほど難しくないことがわかります。
実は農業の融資は、あなたが考えている以上に門戸を広げてくれています。

そこでこの記事では次のことを説明します。

(1)融資を受けるための3つステップ
(2)農業の代表的な融資一覧
(3)融資を受けるのに有利な条件、不利な条件
(4)農業で融資を受ける際の重要点

この記事を読むことで、あなたにとって理想的な融資の方法が見つかることでしょう。

目次

1. 農業で融資を受ける3つのステップ

農業で融資を受けるためには、次の3つのステップが必要です。

STEP1:貸付を受ける目的・資金調達額をはっきりさせる
STEP2:JAバンク、日本政策金融公庫、金融機関、ローン会社等の窓口に相談に行く
STEP3:借入に必要な書類を作成し申し込む

では、順を追って説明します。

【STEP1:目的と目標】貸付を受ける目的・資金調達額をはっきりさせる

融資イメージ

農業で融資を受けるためには、その目的をはっきりさせる必要があります。

なぜなら、農業の融資は一般の消費者金融にあるようなフリーローンでは無いからです。
必ず、借りる目的と金額を明確にしておきましょう。

計画は、数値を使い5W1H(誰が・いつ・どこで・何を・なぜ・どうやって)を満たすと具体的になります。

【借入の例】
親から譲り受けた農地で代々農家をしている認定農業者。
空いている農地1,000㎡に新たにビニールハウスを建ててトマトの栽培を検討中。
ビニールハウスと灌水設備含めて800万円の資金が必要と試算。
トマトは直売所と既存の契約先あわせて5社に販売予定。
売上から農業原価・人件費を差し引くと収益増加が年間約100万円見込まれる。
来年から栽培を開始し利息含めて10年で返済したい。

あわせて、必要な資金調達額も明確にしておきましょう。

見積りなども事前に取り寄せておくべきです。

【STEP2:窓口相談】JAバンク、日本政策金融公庫、金融機関、ローン会社等の窓口に相談に行く

融資窓口

目的と金額がはっきりしたら、融資窓口に相談に行きましょう。

融資窓口としては下記があります。

(1)JAバンク
(2)日本政策金融公庫
(3)銀行、信用金庫
(4)ローン会社、リース会社

それぞれの会社には、様々なメニューがあるので、最初から決め打ちして選択肢を狭めない方がいいです。
むしろ、目的や必要資金などの条件を伝えて、窓口で一緒に探してもらうほうがいいでしょう。

融資の条件として収支計画の作成が求められる場合は、融資担当者が一緒に計画の青写真を考えてくれるところもあります。
利率、返済金額、返済期間などの様々な条件をもとに、シミュレーションしてもらいましょう。

農業の融資は、あなたが考えている以上に門戸を広げてくれています。
思い切って相談に行きましょう。

「JA(農協)」と「JAバンク」の関係について
「JA(農協)」と「JAバンク」の関係は、「郵便局」と「ゆうちょ銀行」の関係に似ています。
「郵便局」の中に「ゆうちょ銀行」の窓口があるように、「JA(農協)」の中に「JAバンク」の窓口があります。
ただし一点、大きな違いがあります。
「ゆうちょ銀行」は、全体で一つの大きな銀行であり、各地にあるのは支店です。
一方、「JAバンク」は、各拠点ごとに独立した金融機関です。
そのため、それぞれが他にはない独自商品を扱っています。

【STEP3:申し込み】借入に必要な書類を作成し、申し込む

申込

融資の内容に応じて必要な書類は様々ですが、主に必要となるのは下記です。

【融資に必要な書類の例】
・収支計画
・確定申告(個人の場合)
・決算書(法人の場合)
・認定農業者や認定新規就農者の認定証
・収入保険に入っているならその証書

収支計画は、向こう5年間分必要です。
融資窓口で作成した青写真をもとに現実的な数字を落とし込みましょう。

確定申告は過去3年分必要です。
決算書は過去3~5年分必要です。

保証人や担保等が必要な場合は、それを証する書類が必要です。

それらが無事揃ったら、融資窓口にて申込みます。
そして審査を受け、とおれば晴れて資金調達が完了します。

新規就農でかつ認定新規就農者でない場合は、農業で融資を受けるのは難しいです。
なぜなら、今の段階では農業の実績がないからです。
その場合は、一般のフリーローンを探す必要があります。

 

2.「制度資金」と一般融資の違い

この章では、融資の種類について説明します。

融資には、主に「制度資金」と一般融資があります。
それぞれの違いを知っておくと検討しやすくなります。

この章では、「制度資金」と一般融資の特徴・金利・メリットを解説します。

2-1. 「制度資金」とは|特徴・金利・メリットを解説

制度資金

「制度資金」とは国から100%出資されている資金です。
国の制度に従って定められています。

したがって、どこの機関で受けても上限金額や利率などは同じです。
審査基準の厳しさは、一般融資に比べて厳しく設定されています。
審査にも時間がかかります。
認定農業者や認定新規就農者が条件であることが多いです。

その分、利率は低めで一般融資の3分の一程度です。

2-2. 一般的な融資とは|特徴・金利・メリットを解説

金融機関イメージ

一方の一般融資は、金融機関や信販会社、リース会社が独自に商品化しています。
そのため上限金額や利率も様々です。

そして認定農業者や認定新規就農者でなくても受けられるものもあります。
審査期間も短く、早くて1カ月程度でおりることもあります。
審査も制度資金に比べて通りやすいです。

ただし、その分金利は「制度資金」の3倍くらい高いです。

 

3. 農業の代表的な融資7選

一般融資

この章では、農業で受けられる代表的な融資を紹介します。

国の制度で定められているものもあれば、金融機関が独自に商品化しているものもあります。
それぞれに一長一短があるので、自分のニーズにあったものを選びましょう。

この章を読むことで、主な融資とその選ぶべきポイントが理解できます。

3-1. 農業経営基盤強化資金(スーパーL資金)

【分類】制度資金
【提供】日本政策金融公庫
【貸付対象者】認定農業者
【問合せ先】日本政策金融公庫各支店窓口JAバンク各支店窓口

農業で融資をお考えなら、まず第一に検討すべき融資です。

なぜなら超低金利(0.16%~0.20%)だからです。
一定の条件を満たせば、金利0%も可能です。
融資枠も、個人で3億円、法人で10億円まであります。

ただし、要件として認定農業者であることが求められます。
それ故、スーパーL資金を受けたいために認定農業者になられる方もおられるぐらいです。

なお、スーパーL資金は、JAバンクでも取り扱っています。
農協の担当者がお近くにいれば、そちらに相談することも可能です。

3-2. 青年等就農資金

【分類】制度資金
【提供】日本政策金融公庫
【貸付対象者】認定新規就農者
【問合せ先】日本政策金融公庫各支店窓口JAバンク各支店窓口

これから農業を始める方であれば、第一に検討べき融資です。

なぜなら無利子だからです。
収入の不安定な就農開始時期には心強い制度です。

ただし、こちらも要件として認定新規就農者であることが求められます。
もしこらから農業を始められる方は、同時に認定新規就農者になることをお勧めします。

なお、青年等就農資金も、JAバンクでも取り扱っています。
農協の担当者がお近くにいれば、そちらに相談することも可能です。

3-3. 経営体育成強化資金

【分類】制度資金
【提供】日本政策金融公庫
【貸付対象者】専業農家、農業法人
【問合せ先】日本政策金融公庫各支店窓口JAバンク各支店窓口

あなたが一般の農家(※)なら、第一に検討すべき融資です。
(※)認定農業者あるいは認定新規就農者ではない

超低金利(0.20%)で融資が受けられます。
融資枠も、個人で1.5億円、法人で5億円あります。

経営体育成強化資金も、JAバンクでも取り扱っています。
農協の担当者がお近くいれば、そちらに相談することも可能です。

3-4. 農業近代化資金

【分類】制度資金
【提供】JAバンク
【貸付対象者】専業農家、農業法人
【問合せ先】JAバンク各支店窓口

JAバンクが主体の超低金利(0.20%)融資です。

一般の農家(※)でも受けられます。
(※)認定農業者あるいは認定新規就農者ではない

ただし、農地の購入には使えません。

3-5. 農業経営改善促進資金(新スーパーS資金)

【分類】制度資金
【提供】JAバンク
【貸付対象者】認定農業者
【問合せ先】JAバンク各支店窓口

JAバンクが主体の短期融資です。

設定した資金枠内で、何度も借入と返済ができます。
融資枠は、個人で500万円、法人で2,000万円です。
短期の運転資金として利用できます。

要件として、認定農業者であることが求められます。

3-6. アグリマイティー資金

【分類】一般融資
【提供】JAバンク
【貸付対象者】JA組合員、農業を営む人
【問合せ先】JAバンク各支店窓口

JAバンクが独自に商品化している融資です。

制度資金に比べてスピーディに審査されます。
早ければ1ヶ月ぐらいで入金されてきます。

ただし制度資金にくらべて金利は高くなります。
およそ、5年:0.6% 10年:0.8% 前後です。
変動金利も選択できます。

なお、審査にあたっては3年間の農業としての確定申告が必要です。
そのため、新規就農者では実質的に難しいようです。

3-7. アグリアシストプログラム

【分類】一般融資
【提供】三井住友ファイナンス&リース
【貸付対象者】個人農家(青色申告必須)、農業法人(認定農業者必須)
【問合せ先】三井住友ファイナンス&リース 農林水産ビジネス室

リース会社が独自に商品化しています。

ビニールハウスや農業機械などの物品購入に利用できます。

金利は、制度資金よりは高いが民間の金融機関よりは安く設定されています。

農業法人の場合は、認定農業者であることが求められます。
個人の場合は、白色申告はNGです。

追加情報ですが、農業の「収入保険」に入っていると審査に有利です。

 

4. 融資を受けるのに有利な条件、不利な条件

認定農業者

この章では、融資を受けるのに有利あるいは不利な条件を説明します。

農業の融資を受けるには、認定農業者、認定新規就農者であることが断然有利です。
逆に、融資を受けるのに難しい条件もあります。

この章を読むことで、どのような条件を整えれば融資を受けやすくなるかがわかります。

4-1. 融資を受けるには認定農業者が有利

農業で融資を受けようとするなら、認定農業者が断然有利です。
なせなら2章で紹介した融資で条件の良いものは、すべて認定農業者であることを要件としているからです。

認定農業者になるには、「農業経営改善計画」を作成し認定を受ける必要があります。
今までどんぶり勘定で農業されてきた方には、計画作成は困難な作業かもしれません。
しかし、そのような計画をたてて実践してこそ大きな資金が借りられるわけです。

もし今から大型の融資をご検討であれば、ぜひ認定農業者になることをお勧めします。

認定農業者について知りたい方におすすめの記事はこちら。

4-2. 新たに農業を始めるなら認定新規農業者になるべき

新たに農業を始めるなら、認定新規就農者になるべきです。
なぜなら、2章で紹介した融資のうち新規就農者向けで条件の良いものは、すべて認定新規就農者であることを要件としているからです。

認定新規就農者になるには、「青年等就農計画」を作成し認定を受ける必要があります。
農業は始めの頃は収入が不安定になりがちです。
だからこそ計画立てて営農していくことが大切です。
融資はそのような新規就農者を支援してくれるのです。

今から農業を始められる方は、ぜひ認定新規就農者をめざしましょう。

認定新規就農者について知りたい方におすすめの記事はこちら。

4-3. 農業の融資を受けるにあたって不利な条件も知っておく

認定農業者や認定新規就農者ではない場合、通常の融資を受けることになります。
金利が高かったり、融資枠が小さかったりしますが、やむを得ません。

なお、次のような場合は、農業で融資を受ける自体が難しいとお考えください。

【農業で融資を受けるのが難しい場合】
・新規就農1年目で農業の実績がない
・農業としての確定申告が3年分ない
・確定申告が白色しかしていない
・収支計画を作るのが面倒

その場合は、十分な担保を準備するか、高金利のフリーローンを組むことになります。

5. 審査に通るためには収支計画が最重要|いかに現実的な計画がてたられるか

現実的な収支計画

この章では、融資における収支計画の重要性について説明します。

これまでも述べてきましたが、農業で融資を受けるには収支計画が最重要です。

この章を読むことで、収支計画を立てる上での注意すべきポイントが理解できます。

5-1. 収支計画は生活費まで考えてたてる

農業で融資を受けるには収支計画が最重要です。

もちろん一般企業でも、融資を受けるにあたっては事業計画は重要です。
しかし、農業では次の理由により、さらに重要視されます。

(1)農地や農業設備などは農業関係者にしか売却できず担保価値が低いため、収支計画で審査するしかない
(2)農業は天候や相場などに左右され不安定要素が大きいため、より現実的な計画を立てていることが求められる

では、どのような収支計画が求められるかというと、各金融機関の融資担当者に聞いた話をまとめると次になります。

収入の数字に根拠があって、経費を差し引いても、生活費がきちんと残る

無理なく生活していけるレベルの所得は確保できるような計画をたてましょう。

このような内容で5年先までたてることができれば、収支計画としては合格です。

逆にいうと、農業収入の大きく見込まれても、数字に根拠が無ければ追加資料が求められます。
まして、生活費も捻出できないような収支計画はNGです。

5-2. 収支計画の甘さが露呈するケース

農業の融資の落とし穴があるとしたら、それは収支計画の甘さにあります。

収支計画の甘さが露呈するケースとして次の事態が考えられます。

【収支計画の甘さが露呈するケース】
(1)今までどんぶり勘定だったために収支計画のたて方がわからず、鉛筆をなめてつくった
(2)市場価格の変動リスクを避けるために直販を目指したものの、思うように販路が開拓できなかった
(3)天候不順で不作となったが、収入保険に入っていなかった
(4)災害でビニールハウスが被災し、営農に大きな支障がでた
(5)草刈りや配達などの間接コストが想像をはるかに上回った

これは一般の事業会社であれば、倒産を招きます。
農業だからといって大目に見てもらえる訳ではありません。
農業には不測の事態が往々にして起こり得るので、なおのこと手堅い収支計画を心がけましょう。

もう一つ忘れてはならない落とし穴は、「離農」です。
思うように農業ができず、断念しようとしても返済は続きます。

もし農業やめたとしても、借金が返済していけるかどうかも検討しておきましょう。

6. 農業法人なら投資会社から出資が受けられる|農業法人投資育成事業

農業法人への投資

最後に、融資に似たものに「投資」があります。

これは農業法人が投資会社から出資を受けるというものです。

この章を読むことで、農業での「投資」の基本的な内容が理解できます。

6-1.「融資」と「投資」の主な4つの違い

農業における投資とは、農業法人が投資会社から出資してもらい、儲かれば利益配当するという資金調達方法です。

融資と投資の違いを簡単にまとめると次の4点です。

(1)勘定科目
融資 : 借入金
投資 : 資本金

 

(2)月々の支出
融資 : 一定の利率により利息を返済
投資 : 利益に基づき配当

 

(3)元本の返金
融資 : 返済スケジュールに基づき返済
投資 : 株式の買戻し

 

(4)担保
融資 : 担保必要な場合あり
投資 : 担保は不要だが議決権行使による介入あり

両者は一長一短です。
そのため両方をバランスよく用いて資金調達する法人も多いようです。

6-2. 農業での代表的な投資|農業法人投資育成事業

農業で受けられる代表的な投資には「農業法人投資育成事業」があります。

【提供】アグリビジネス投資育成株式会社
【出資対象】農業法人(認定農業者)
【問合せ先】担当窓口、もしくは日本政策金融公庫や農林中央金庫の窓口

問合せ窓口は東京の本部しかありません。
しかし、担当者が各地にいるので依頼すれば面談可能です。

また日本政策金融公庫や農林中央金庫と連携しているので、お近くにどちらかの窓口があれば、そこに相談すれば繋いでくれます。
その場合、融資と投資の両方を紹介してもらえます。

農業法人の中には、融資と投資をバランスよく組み合わせて資金調達しているところもありますので、積極的に相談してみてください。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

この記事では次のことを説明しました。

(1)融資を受けるための3つステップ
(2)農業の代表的な融資一覧
(3)融資を受けるのに有利な条件、不利な条件
(4)農業で融資を受ける際の重要点

農業で融資を受けるにはどのようにすればよいかおわかり頂けたと思います。

農業の融資は、あなたが考えている以上に門戸を広げてくれています。

融資をお考えの方は、思い切って窓口に相談に行きましょう。

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