ビニールハウスを建てる際、どのくらいのサイズが適切なのか迷うところですよね。
特に迷うとしたら次のことではないでしょうか。
・ビニールハウスにはどんなサイズのものがあるのか
・農地に余裕がある場合、割安なのはどのくらいのサイズなのか
・農地がせまい場合、目一杯建てることができるか
・単棟がいいか連棟がいいか
・規格品がいいか特注品がいいか
・天井の高さも気にした方がよいか
そんな時は具体的なポイントがわかると決めやすいですよね。
そこでこの記事では次のことを説明します。
(1)用途に応じたビニールハウスの種類とサイズ
(2)農地に比較的余裕があり自由に検討できる場合のサイズを決めるポイント
(3)農地の大きさや形に制限がある場合のサイズを決めるポイント
(4)単棟か連棟かを決めるポイント
(5)規格品が特注品かを決めるポイント
(6)天井の高さの違いによる影響
この記事を読めば、あなたの農地にとって最適なビニールハウスのサイズを決める材料が得られます。
ぜひ最後までご覧いただけたらと思います。
目次
1. ビニールハウスのサイズは20㎡前後から1000㎡まで様々
この章では、ビニールハウスにはどのようなサイズのものがあるかをご説明します。
ビニールハウスはパイプとビニールでできたシンプルな構造です。
シンプルが故にサイズは自由に組むことができます。
そして一般の建築物に比べたら単位面積当たりのコストは大変安いです。
※ビニールハウスの価格の相場については別記事「ビニールハウスの価格の相場|最高の構成で安く購入するコツ10選」を参照ください。
この章を読むことで、あなたに適したビニールハウスのサイズについて大まかな検討をつけることができます。
1-1. ビニールハウスの用途と大まかなサイズの関係
ビニールハウスの用途と大まかなサイズの関係は次の通りです。
種類 | 面積 | 間口(棟ごとの横幅) | 奥行(長さ) | 備考 |
---|---|---|---|---|
大型 | 1000~5000㎡ | 7.2~9m(5連棟以上) | 50~100m | 広大な農地に展開 |
中型 | 100~1000㎡ | 5.4~7.2m(2~5連棟) | 20~50m | 組立は業者が多い |
小型 | 20~100㎡ | 4.5m前後(単棟) | 5~20m | 自作も可能 |
農地の面積や用途に応じてサイズを自由に決められます。
詳細は次で説明します。
1-2. 横幅(間口)は「間(けん)」単位が標準|メーカーによっては「m」単位もあり
棟(とう)ごとの横幅を「間口(まぐち)」といいます。
間口は、5.4m、6.0m、7.2mのように、昔の「間(けん)」(1間≒1.8m)を基準にで設定されていることが多いです。
もちろんメーカーによっては、6m、7m、8mのようにメートル単位で品揃えしているところもあります。
アーチパイプを2本組み合わせて構成するため、間口には限界があります。
大型のハウスに標準的に使われる直径31.8mmのパイプでも、間口は9m前後になります。
なお、1棟あたりの間口に限界があっても、棟をつないで「連棟」にすることで、横幅を広くすることができます。
1-3. 長さ(奥行)は自由度が高い
棟の長さを「奥行」といいます。
ビニールハウスは同じ形状のアーチパイプをひたすらならべた構造なので、奥行の自由度は高いです。
パイプのピッチ(間隔)が50cmなら、50cm単位で奥行を決められます。
なお、ビニールハウスの基本的な構造について知りたい方は「ビニールハウスの構造|初期費用を抑えて台風と雪に勝つ最重要2項目」を参照ください。
2. 農地に余裕がある場合のビニールハウスのサイズの決め方
この章では、農地に余裕がある場合のビニールハウスのサイズの決め方を説明します。
農地が広大で、その一部にビニールハウスを建てようとお考えの場合です。
大きさやレイアウトは比較的自由です。
この章を読めば、農地に余裕がある場合のビニールハウスのサイズを決めることができます。
2-1. 奥行は長い方が割安になるが50m以内にしておくのが無難
奥行は長い方が割安ですが、初めて建てる場合は50m以内が無難でしょう。
側面の部品が妻面にくらべて安いので、側面を長くすればその分割安になります。
ただし、割安になるからといって長すぎると次のデメリットが出てきます。
【長すぎるビニールハウスのデメリット】
・換気扇の効果が及ばなくなる(途中に循環扇が必要になる)
・灌水装置の水圧が届かなくなる
・巻き上げ機が重くて回せなくなる
・温度や湿度の環境が均一に保てなくなる
・ハウスの出入りが大変になる(途中に扉をつけることは相当なコスト高になる)
このようにハウス自体が割安でも、長過ぎるとかえって不都合がでてきます。
もちろんハウス栽培歴の長い農家さんであれば、100m前後のハウスも建てておられます。
ただその分、管理するのにノウハウが必要となります。
ですので初めてハウスを建てる場合は、50m以内が無難でしょう。
余談ですが、ビニールハウスの長さに限界はありません。
パイプとビニールを組み合わせただけのシンプルな構造だからです。
ひたすらパイプを並べていけばいいので、果てしなく建てられます。
使い勝手を無視するのであれば、万里の長城のようにすることも可能です。
あくまで理屈上の話ですが。
2-2. 建てる方向は南北に長くするのが基本
建てる方向は南北に長くするのが基本です。
なぜなら朝日をたくさん受けられるからです。
光合成は朝の7:00~9:00の太陽光を受けるのが最も良いとされています。
そのため南北に長く建てると、側面が朝日に向くのでもっとも効率よく光合成をすることができます。
2-3. 風が特定の方角に吹く地域は風向きも考慮する
風向きが特定の方角に吹くなら、風向きと同じ方向に建てるのも一考です。
なぜなら、妻面方向は風のダメージが少ないからです。
地形によっては常に特定の方向から強い風が吹く地域があります。
側面に強い風を受け続けるとダメージが積み重なります。
そのような地域なら、風向きに対して縦方向に建てるのも一考です。
3. 農地ギリギリ一杯まで使ってビニールハウスを建てたい場合のサイズの決め方
この章では、農地に余裕がない場合のビニールハウスのサイズの決め方を説明します。
農地の大きさに限りがある場合や、農地の形がいびつな場合もあるでしょう。
東西南北に向いてない(斜め)場合もあると思います。
その場合、何を優先するかによって建て方が変わってきます。
この章を読めば、農地に余裕がないない場合の、あなたに適したサイズを決めるポイントがわかります。
3-1. ビニールハウスの周囲は1m以上あける必要あり
ビニールハウスを建てる際は、周囲を1m以上あける必要があります。
理由は次のとおりです。
(1)作業スペースとして
ビニールハウスの組み立ての際やビニールの張り替えの際、作業スペースが必要となります。
高所作業ですので脚立が安定して置けるスペースが必要です。
(2)通路として
農地を横切る通路を確保する必要があります。
接道していない土地がビニールハウスの向こう側にある場合、通路の確保は必須です。
もしトラクターが通るのであれば、その分の幅が必要です。
(3)雨水で土がえぐれるため
雨が降れば側面から滝のように流れ落ちます。
その下は土がえぐれるため、作物は育てられません。
必然的に耕作はできない土地となります。
(4)積雪対策として
積雪地域なら滑り落ちた雪が積もる場所として、あけておく必要があります。
雪が融けるまでの間は、完全なデッドスペースとなります。
3-2. ビニールハウスの内側も耕作できない部分があることに注意
ビニールハウスの内側にも、耕作できない部分が必ず発生します。
耕作できない理由は次のとおりです。
(1)側面近くは天井が低く農作業がしづらい
(2)側面近くはハウス内部にできた露が流れ落ちるため、雑菌が溜まりやすく病気になりやすい
(3)連棟の場合、連結部分にもパイプがあるため畝を作るのが制限される
ビニールハウスの内側は、思った以上に耕作できる面積が減ることに注意しましょう。
3-3. 単棟を並べる場合は棟と棟との間もあける必要あり
単棟を並べる場合は、棟と棟の間も1m以上あける必要があります。
特に積雪地域の場合は雪がいつまでも融けません。
せまくしてしまうと長い間ビニールハウスに負荷をかけてしまいます。
そのため、さらに広いエリアを確保する必要があります。
3-4. 農地が斜めの場合は無理に南北方向に建てなくてもよい
農地が斜めの場合は、無理に南北方向に建てなくてもよいです。
確かに先の説明では、南北方向に建てるのが基本と説明しました。
参照「2-3. 風が特定の方角に吹く地域は風向きも考慮する」
ただ、農地に制限がある場合、無理に南北にしようとすると割高になることもあります。
その場合は、農地にあわせて柔軟に検討しましょう。
4. 単棟と連棟どっちがおすすめ?|9項目を徹底比較
この章では、単棟と連棟を比較説明します。
コストを重視するなら単棟が有利です。
小さなハウスを1棟建てるだけなら、単棟が良いでしょう。
一方、大きな規模である程度の投資を見込んでいるならば、連棟が良いでしょう。
なぜなら機能面で充実しているので、理想的な栽培環境を作りやすいからです。
それに連棟にとって不利な項目も、コストをかければ解決できるからです。
これらも含めて総合的に判断しましょう。
それぞれの違いわかるよう、次の9項目にわけて徹底比較しました。
内容 | 単棟 | 連棟 |
---|---|---|
妻面が少なく割安になる | ○ | × |
谷部が無く割安になる | ○ | × |
谷部が無く雪が積もりにくい | ○ | × |
ビニール張り替えがしやすい | ○ | × |
工事費が割安になる | ○ | × |
換気がしやすい | ○ | × |
温度・湿度管理がしやすい | × | ○ |
アクセスが楽 | × | ○ |
横風に強い | × | ○ |
この章を読めば、あなたに適しているビニールハウスが単棟か連棟か判断できるようになります。
4-1. 単棟は妻面が少なく割安になる
単棟は妻面が少ない分、割安になります。
妻面のコストは側面のコストより高いです。
妻面に扉や換気扇などを付けるとさらに高くなります。
したがって同じ面積であれば妻面が少ない単棟の方が、割安になります。
4-2. 単棟は谷部が無く割安になる
単棟は谷部が無い分、割安になります。
連棟にすると谷部に雨樋(とい)が必要になります。
これを付けないと谷部に雨水が溜まってしまうからです。
単棟の場合は谷部が無いため不要なので、その分割安になります。
4-3. 単棟は谷部が無く雪が積もりにくい
単棟は谷部が無く、雪が積もりにくいです。
一方、連棟は谷部があり、雪が積もりやすいです。
そして融けるまで長く残ります。
雪が融ける前に雨が降ると、水分を吸ってさらに荷重が増します。
その点、単棟であれば滑り落ちやすいので、積雪によるダメージは少なくなります。
4-4. 単棟はビニールの張り替えがしやすい
単棟はビニールの張り替えがしやすいです。
なぜなら両側の側面に脚立がたてられるからです。
一方、連棟の場合は、谷部の作業が難しいです。
谷部にのぼらなければならないからです。
また雨樋(とい)もあるので張りにくいです。
毎年張り替えるつもりであれば、張り替え作業のしやすさも考慮しましょう。
4-5. 単棟は工事費が割安になる
単棟の方が面積当たりの工事費が割安になります。
なぜなら組み立てが難しい妻面の数が少ないからです。
妻面は組み立て作業が複雑です。
扉や換気扇などの取付作業もあります。
その分所要時間がかかります。
それに対し側面部分の組み立ては単純な部品の作業の連続です。
したがって、妻面の少ない単棟の方が工事費も割安になります。
4-6. 単棟は換気がしやすい
単棟は両サイドの側面に巻き上げ機をつけることができるので、効率的に換気ができます。
これが連棟になると、片方しかつけられません。
そのため谷部分で換気をすることになります。
単棟よりも換気効率が悪くなります。
もちろん換気扇で強制換気することはできます。
ただし、換気扇はオプションの中でも1、2位を争う高額品なので、妻面ごとにつけるとかなりのコスト増になります。
4-7. 連棟は温度・湿度管理がしやすい
暖房装置などで温度・湿度をコントロールする場合、連棟の方が温度・湿度環境を維持しやすくなります。
形状が正方形に近い方が、全体のバラツキが少なくなるからです。
一方、単棟は細長いので、両端で温度・湿度がかけ離れる恐れがあります。
そうすると同じハウス内にもかかわらず、同じように作物を育てるのが難しくなります。
したがって、温度・湿度管理が重要な作物の場合、連棟の方が適しています。
4-8. 連棟はアクセスが楽
同じ面積であれば、連棟の方がアクセスがラクです。
どこからでも隣の棟へ移動できるからです。
一方、単棟は細長いので移動が大変です。
出口が妻面しかないので、収穫物を運び出すのにも一苦労です。
とはいえ、途中に扉をつけると相当なコスト高になります。
本来は側面に扉はつけないため、特注対応となるからです。
したがって、アクセスを考えるなら連棟が適しています。
4-9. 連棟は横風に強い
連棟は横風に強いです。
台風で強烈な横風を受けても、連棟の方がダメージが少ないです。
4-10. まとめ|コストを優先するなら単棟/機能性を重視するなら連棟
コストを重視するなら単棟が有利です。
小さなハウスを1棟建てるだけなら、単棟が良いでしょう。
一方、大きな規模である程度の投資を見込んでいるならば、連棟が良いでしょう。
なぜなら機能面で充実しているので、理想的な栽培環境を作りやすいからです。
それに連棟にとって不利な項目も、コストをかければ解決できるからです。
これらも含めて総合的に判断しましょう。
5. ビニールハウスを特注サイズで建てるメリット・デメリット
この章では、ビニールハウスを規格以外の特注サイズで建てるケースについて説明します。
ハウス内の栽培設備などの都合により、メーカーのラインナップにないサイズを建てたい場合があります。
もちろんそういった特注サイズのビニールハウスを建てることは可能です。
ただし、メリット・デメリットがあるので事前に知っておきたいところです。
この章を読めば、特注サイズで建てることの良し悪しが判断できるようになります。
5-1. 【メリット】栽培設備がピッタリ収まる最適なサイズで建てられる
栽培設備がピッタリ収まる最適なサイズで建てられるというメリットがあります。
例えばイチゴやトマトなどは専用の栽培設備を使う場合が多いです。
その設備の寸法(特に横幅)が固定の場合、何列設置できるかは非常に重要な問題です。
栽培装置が1列増減するだけで収穫量は大きく変動します。
できる限りムダなく配置したいところです。
収量や栽培設備のコストとのバランスを考えて、ハウスを特注サイズにするかどうか検討しましょう。
連棟でハウス全体の幅が広くても、棟をまたいで設置することはできません。
なぜなら棟と棟との間にはパイプがあるからです。
栽培設備を何列並べられるかは、連棟全体の幅ではなく、棟ごとに検討しましょう。
5-2. 【デメリット1】価格が高くなる
規格外のパイプを使うので、価格が標準品より高くなります。
1本当たりの単価増加がわずかでも、本数が多いと跳ね上がります。
【参考例】
例えば次の規模のビニールハウスですと、全部で306本になります。
奥行(長さ) : 25m
棟数 : 3連棟
ピッチ(パイプ間隔): 0.5m
※アーチパイプは2本一組です。
なお、ビニールハウスの構造についてを詳しく知りたい方、次のリンクを参照ください。
5-3. 【デメリット2】破損した時の修理部品の取り寄せに時間がかかる
特注品にすると、災害などで破損し場合に修理部品の取り寄せに時間がかかります。
標準品であれば、メーカーに在庫があるかもしれません。
しかし特注品となると、依頼を受けてから加工する場合もあり、大変遅くなります。
作物がビニールハウス環境が必須の場合、復旧するまで栽培が開始できません。
そうすると収入も止まってしまいます。
そういった2次的ダメージも考えた上で、既製品か特注サイズかを検討しましょう。
6. 天井の高さの違いで影響がでる4項目
この章では、ビニールハウスの天井の高さについて説明します。
ビニールハウスの天井の高さは一般的には横幅(間口)の半分程度です。
アーチパイプの側面部分の長さを調整することで多少の上下は可能です。
サイズを検討する際、広さばかり気にしがちですが天井の高さも重要です。
高くするか低くするかの違いによって影響があるからです。
天井の高さの違いで影響が出る4項目を次にまとめました。
内容 | 天井:高 | 天井:低 |
---|---|---|
炎天下でも高温になりにくい | ○ | × |
寒い時に温度を上げやすい | × | ○ |
ビニールの張り替えがしやすい | × | ○ |
大型機械での作業がしやすい | ○ | × |
この章を読めば、ビニールハウスの天井を高めにするか低めにするか見当がつけられるようになります。
6-1. 天井が高いと炎天下でも高温になりにくい
天井が高いと、ハウス内温度が上がりにくいです。
特に炎天下では、天井に暖かい空気が溜まりますので、天井付近はかなりの高温になります。
そのため天井が低いと、地面付近まで高温になります。
もし高設栽培されている場合、地面より天井に近いのでその影響はさらに大きくなります。
作物が高温に弱いのであれば、天井を高くしておくことをおすすめします。
6-2. 天井が低いと寒い時でも温度を上げやすい
天井が低いと、室内温度を上げやすいです。
天井に溜まった暖かい空気と地面との距離が近いからです。
暖房機を使った場合でも、暖かい空気が地面にも届きやすいので、地面付近の温度を上げやすくなります。
ビニールハウスに暖房を検討される場合は、天井を低めにすることをおすすめします。
6-3. 天井が低いとビニールの張り替えがしやすい
天井が低いと、ビニールの張り替えがしやすいです。
ビニール張り替えは高所作業ですので、危険が伴います。
低いに越したことはありません。
毎年張り替えるつもりであれば、張り替え作業のしやすさも考慮しておきましょう。
6-4. 天井が高いと大型機械での作業がしやすい
天井が高いと大型機械での作業がしやすくなります。
土耕栽培の場合は、耕したりする必要があります。
できればトラクターなどの大型機械を使いたいことでしょう。
ちなみに屋根のないトラクターであれば、人が搭乗した場合でも高さ2m弱です。
(屋根付きは3mを超えるものもあります。)
扉も両開きにして十分な広さを確保しておけば、トラクターの進入も可能です。
なお、ビニールハウスは側面に近づくにつれ天井が低くなるので注意が必要です。
すでにトラクターをお持ちであれば寸法を確認した上で、ビニールハウスのサイズに反映させましょう。
7. ビニールハウスを建てる寸法はメーカー推奨を守るべき理由
この章では、部材を増やさずに横幅を無理に拡げて建てるケースについて説明します。
自作に多い事例ですが、間口を設計よりも無理に拡げて建てるケースがあるようです。
アーチパイプはそのまま使うので、コストを上げずに広くできるのではと安易に考えがちです。
しかし、強度が極端に落ちる等の不都合があるのでやめましょう。
メーカーは既定の高さで強度計算しています。
極端に無理な建て方をするとメーカーの保証外となるかもしれません。
この章を読めば、メーカーの設計を守らずに無理に拡げて建てた場合の問題点がわかります。
7-1. 平たくなることで雪が積もりやすく強度が極端に弱くなる
部材を変えずに横幅(間口)を拡げるので、パイプの長さが変わらない分天井が平たくなります。
屋根の角度が緩やかになるので、雪が積もりやすくなります。
また積もった雪はなかなか滑り落ちません。
つまり強度的に積雪に対して極端に弱くなります。
当初の設計で耐えられると考えていた積雪量よりはるかに少ない積雪で倒壊する危険があります。
7-2. 平たくなることで天井が低くなり炎天下で非常に高温になりやすい
部材を変えずに横幅(間口)を拡げるので、天井が低くなります。
天井が低くなるとハウス内温度が高くなりやすいことは、先に説明しました。
参照「6-1. 天井が高いと炎天下でも高温になりにくい」
このケースではパイプの長さが変わらない分、天井が極端に低くなります。
そのため、想像以上にハウス内の温度が上がりやすくなります。
高設ベッドなどの栽培設備がある場合、天井との距離がさらに近くなります。
高温に弱い作物には、特にダメージが大きくなります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
この記事では次のことを説明しました。
(1)用途に応じたビニールハウスの種類とサイズ
(2)農地に比較的余裕があり自由に検討できる場合のサイズを決めるポイント
(3)農地の大きさや形に制限がある場合のサイズを決めるポイント
(4)単棟か連棟かを決めるポイント
(5)規格品が特注品かを決めるポイント
(6)天井の高さの違いによる影響
あなたにとってビニールハウスを建てることは、とても大きな投資だと思います。
農地の大きさや栽培作物、そして限られた予算の中で、最適なサイズを見つけることは大変重要なことでしょう。
その際、確認すべきポイントを1つずつ丁寧に検討すれば、きっとあなたに適したビニールハウスのサイズが見つかるずです。
この記事が、あなたの理想のビニールハウスを建てるお役に建てれば幸いです。
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