農地の売買|農業と不動産のプロが教える失敗しないコツ39選【保存版】

農地売買
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あなたは農地の維持管理が大変で「農地を売りたい(手放したい)」とお考えではありませんか?
そして、【どこに】【いくらで】売れば良いかお悩みではないでしょうか。

土地の売買が不慣れな方にとって、難しく感じるのも無理はありません。
特に農地の場合は、「農地法」の手続きも必要なのでなおさらですよね。

自分が次に何をすべきかがわかり、適正な価格でスムーズに売買ができたら理想的だとは思いませんか?
実は、いくつかのポイントと売買の流れを理解するだけで、農地の売買が格段にスムーズに行えるようになります。

この記事では、不動産と農地のプロである【農地コンシェルジュ】が農地売却のことを全く知らない方にもわかりやすく、全体像から基礎知識まで丁寧に紹介しています。

あなたがこの記事を読むことで次のことがわかるようになります。

(1)農地の相場
(2)農地の種類
(3)農地を売買するときに役立つ相談窓口
(4)農地売却の手順
(5)農地売却で注意すべきポイント

最後まで読めば、土地価格の相場の調べ方や、相談先がわかるようになり無駄な時間やストレスから解放されるでしょう。

理想的な農地売却への糸口が見つけるために最後までお付き合いください。
いざ農地を売却する際に見直しできるように、忘れずにブックマークしておきましょう。

目次

1. 農地の売買価格の相場は非常に安い

この章では、農地の売買価格の相場についてご説明します。

農地が宅地に比べて非常に安いことに驚かれるかもしれません。
でも単に価格だけで農地を判断してはいけません。
農地はいろんな個性を持っているわけです。

この章を読むことで、農地がどのぐらいの価格で取引されているかの目安がわかるようになります。

※「農地転用」という言葉については「2-3. 「農地転用」の許可要件を満たせば「農家」以外でも農地を購入できる」で解説します。
 「農地の種類」については、「2-2. 農地の5つの種類を知ろう」で解説します。

 

1-1. 「農地転用が不可能な土地」の相場

「農地転用が不可能な土地」は非常に安く取引されています。

地目 坪単価(相場)
数百円〜2,000円
数百円〜3,000円

後ほど詳しく解説しますが、農地を売買する際に「農地として売る方法」と「農地以外の利用を前提として売る方法」とがあります。
そこでポイントとなるのが「農地転用ができる土地かどうか」です。

※農地転用については「2-3. 「農地転用」の許可要件を満たせば「農家」以外でも農地を購入できる」で詳しく解説しています。

「農地転用が不可能な土地」は、農地として利用する以外では売ることができません。
そのため、買主も引き続き農地として活用していくしかありません。

とはいえ、農地にしか使用できない土地を積極的に購入する人は、あまりいないのが現状です。

次のような土地は開発に制限が多く利便性が良くないなどの理由で、売買価格は安い傾向にあります。
都市計画区域内の市街化調整区域や非線引区域にある農地
・都市計画区域外の農地
こういった土地は農業以外の利用が困難です。
そのため農業を営むことを主とした売買の相場として、一坪あたり数百円~数千円での取引が多くなされています。

 

1-2. 「農地転用が可能な土地」の相場

農地転用が可能な土地は、「農地転用が不可能な土地」に比べて高く売買できる可能性が高いです。

地目 坪単価(相場)
2,000円〜数万円
3,000円〜数万円

農地転用を行って「資材置き場」「駐車場用地」「太陽光発電設備用地」さらに「宅地分譲地」や「商業施設用地」として販売することができれば価格は一気に上がるでしょう。
農地転用が不可な農地の相場「数百円~数千円/坪」に比べて、「数万円~数十万円/坪」で売買できる可能性もあります。
価格決定のポイントについては「2-6.売買しやすい農地の6つの特徴」にて詳しく解説しています。

市街化区域内の農地では、宅地基準並の取引が行われているケースもあります。
一般的に開発を目的とした土地の売買となるため「宅地」並みの評価がなされる事が多いです。
それに伴い売買の相場も、近隣の地価にあわせ1坪あたり十万円以上の高値で売買されています。

 

1-3. 農地売買における実際の取引価格をみる

国土交通省の「不動産取引価格情報」というサイトで実際の取引額を見ることができます。
次の表は奈良県で実際に売買されたデータです。

種類 所在地 取引総額 面積
農地 天理市蔵之庄町 470万円 2600㎡
農地 天理市喜殿町 10万円 270㎡
農地 大和郡山市池之内町 230万円 230㎡
農地 大和高田市大字松塚 210万円 870㎡
農地 大和高田市大字松塚 290万円 1200㎡
農地 大和高田市大字大谷 180万円 1600㎡
農地 奈良市古市町 25万円 550㎡
農地 奈良市平松 100万円 530㎡
農地 奈良市七条 150万円 350㎡
農地 奈良市上深川町 27万円 220㎡

データ元:国土交通省 土地総合情報システム 2018年第一四半期〜第三四半期迄の奈良県での取引実績から抽出

私たち「農地コンシェルジュ」の本社がある奈良県の「2018年の第一四半期から第三四半期まで」に絞って検索しました。
農地の売買取引総数は70件でした。

このサイトによると、奈良県内で2018年の3期で取引した合計は次の通りです。

売買された農地面積 : 65,705平方メートル(約19910坪)
売買代金の合計 : 235,123,000円(約2億3500万円)
1坪あたりの平均金額 : 11,809円/坪

ただし、取引価格の範囲は、660円/坪~30,000円/坪と開きがあります。
また、10,000円以下の取引が65.7%を占めています。

これらはあくまでも国土交通省によるアンケート結果です。
また、農地転用ができる土地、できない土地というのも不明確なので参考までにお考えください。
農地という特殊な土地は、売り手と買い手のニーズが一致しないと商談が纏まりにくい事が多々あります。
複合的な要因により、金額に差ができることを理解しましょう!

 

1-4. 農地の価格を大きく左右するポイントは「農地転用できるかどうか」

1章では「農地転用が可能な土地」「農地転用が不可能な土地」に分けて相場を記載しました。

分類 売買金額 用途
農地転用「可能」な土地 高く取引される場合がある  事業用地、住宅用地など様々な用途がある
農地転用「不可能」な土地 非常に安い  営農のみに限定される

あなたの農地が農地転用可能であれば、「農作以外に様々な活用方法が検討できる土地」となります。
そのため、農地転用不可能な「営農に限定された土地」に比べて高い価格が期待できます。

つまり「農地転用可能かどうか」が、売買価格決定の非常に重要な要因となることがわかると思います。

次に「自分が持っている土地は農地転用できる土地なのか?」というのが気になりますよね。

それを知るためには、「農地の種類」について理解を深める必要があります。

次の章ではこの点を中心に記載していきますのでぜひご覧ください。

 

2. 農地の基礎知識と売買のしやすさに影響する要因について

あなたが持っている「農地」を特定するには、まず農地の基礎知識を確認する必要があります。

この章では「農地の定義」と「農地の種類」を詳しくご説明します。

すでにご存じの方もおられるかもしれませんが、復習の意味でご確認頂けたらと思います。

2-1. 農地の定義

農地とは耕作の目的に供される土地」と農地法で定義されています。(農地法第2条第1項)

注意すべきなのは、土地の登記簿に記載の地目が何かに関わらず、土地の「現況」によって判断されるということです。

したがって農地法が適用される土地に誤った判断で建築物を建てれば、「違反転用」となり罰則規定の対象となります。

農地であるか否かの判断が不明確なときは、まず農業委員会に確認しましょう。

2-2. 農地の5つの種類を知ろう

農地の種類は、農地を売買する際や農地転用する場合の許可基準などに大きく関わってきます。

では皆様はご自身が所有する農地の種類(区分)をご存知ですか?

農地は次の5種類に分けられています。

「農用地区域内農地」「甲種農地」「第1種農地」「第2種農地」「第3種農地」

※ご自身の農地の種類を調べる方法は「2-4. あなたが所有している農地の種類を調べる方法と3つの手順」を参照ください。

農地転用許可制度の概要

画像引用元:農林水産省 農地転用許可制度ページ内 PDF資料「農地転用許可制度の概要」

 

農用地区域内農地(原則農業以外使用不可)

農用地区域内農地とは、「市町村が定める農業振興地域整備計画において農用地区域とされた区域内の農地」のことをいいます。市街化調整区域で文字通り農用地区のため、原則、農業以外には使用はできず、農地転用ができません(※)。

(※ただし、農振除外申請をした結果、2種あるいは3種農地となった場合は農地転用も可能です。)

甲種農地(原則農業以外使用不可)

甲種農地とは、「市街化調整区域内の土地改良事業等の対象となった農地(8年以内)等、特に良好な営農条件を備えている農地」のことをいいます。この農地も原則、農業以外には使用できず、農地転用ができません。

第1種農地(原則農業以外使用不可)

第1種農地とは、「10ヘクタール以上の規模の一団の農地、土地改良事業の対象となった農地等良好な営農条件を備えている農地」のことをいいます。基本的に農業以外には使用できず、農地転用ができません。

一団の農地のイメージ

一団の農地のイメージ

第2種農地(条件が満たされれば農地転用可能な農地)

鉄道の駅が500m以内にある等、市街地化が見込まれる農地又は生産性の低い小集団の農地です。
周辺に代替地がない等の要件が満たされれば農地転用が可能な農地です。

第3種農地(原則農地転用可能)

鉄道の駅が300m以内にある等、市街地の区域又は市街地化の傾向が著しい区域にある農地であり、農地転用が可能な農地です。

 

2-3. 「農地転用」の許可要件を満たせば「農家」以外でも農地を購入できる

ここでまず、「農地転用」と「農地の一時転用」についてご説明します。

【農地転用について】

農地転用とは、地目が「田」や「畑」の農地を、目的別の観点から「雑種地」等に転用することをいいます。

一部例外を除き都道府県や市町村への「許可申請」(※)となります。
許可申請ですので、審査があります。
一般的に、農地転用可能な土地であれば申請から3ヶ月程度で許可がおります。

(※)ただし、市街化区域内の農地は積極的に市街化を進めたいため、届出・受理されるだけで農地転用ができます。

 

一種農地は原則として農地転用は認められてはいません。

 

あらかじめ「2-4. あなたが所有している農地の種類を調べる方法と3つの手順」をみて、農地転用する場合にどれくらいの期間がかかるのかを押さえておきましょう!

 

【農地の一時転用について】
農地の一時転用とは、農地を一時的に雑種地などへ転用することです。

転用期間は原則3年以内です。
その間は農地以外の目的にも使用できます。
通常であれば転用不可能な農地であっても、定められた手続きのもと許可されれば一時的な転用できます。

 

この制度を利用したのが、「営農型太陽光発電設備(ソーラーシェアリング)」です。

詳しくは別の記事「ソーラーシェアリング」をご覧ください。

農地を農地転用せず購入できる人は、許可要件を満たした農家(新規就農者を含む)又は農業生産法人だけです。
そのため、農地をそのまま売ろうとすると農家さんや農業生産法人にしか売ることができません。

しかし、農地転用の許可要件を満たせば農家さん以外へも売買することができます。

例えば、あなたの農地を「農地転用」して太陽光発電用地として第三者へ売買することも可能です。

太陽光発電設備の設置が目的で農地転用ができる農地であれば、買主が農家さんではなくても問題ありません。

※この例だと、買主が太陽光発電を設置できる根拠(資金や準備)があり、許可要件を満たしていることが前提となります。
なお「農用地区域内農地」「甲種農地」「第1種農地」は原則として転用できず農地以外に利用できないため農地転用はできません。

2-4. あなたが所有している農地の種類を調べる方法と3つの手順

あなたの所有している農地がどの種類(区分)に該当するのかを調べる手順は次の3ステップです。

STEP1. あなたが所有している土地の資料を準備する

STEP2. 各市町村の担当課(農業委員会事務局)に電話で事前に問い合わせる

STEP3. 各市町村の担当課(農業委員会事務局)に訪問する

それぞれ詳しく解説します。

STEP1. 土地の資料を準備する|農地の種類が調べやすくなる3つの書類

あなたが用意する必要があるのは次の3つの書類です。

(1)土地の登記簿謄本(ご自宅に無い場合は、法務局で取得可能)
(2)土地の公図(ご自宅に無い場合は、法務局で取得可能)
(3)航空写真(役所の担当者さんに見せる時に便利です。)

※市町村によっては入手の際、ご自身の免許証や地主さんの委任状等が必要になる場合もあります。

STEP2. 各市町村の担当課に電話をして自分が所有している農地の種類を問い合わせる

各市町村の「農業委員会事務局」や「農政課」に電話で問い合わせましょう。
市町村により窓口が異なりますので、代表電話にかけて「所有している農地の種類について聞きたい」とお伝えすれば大丈夫です。

STEP3. アポイントを取って実際に担当課へ行こう!

あとはアポイントを取って訪問し、資料を見せて「農地種類(区分)」を確認しましょう。
質問の際は目的を具体的に伝えましょう。
「管理ができなくて売却を検討しているが、農地のままでしか売れないのか、それとも農地転用して売れるのか知りたい」などです。
そうすれば理解してもらいやすくなります。

回答をもらう際は、あなたの土地が「何種農地」で、農地転用をして売買できる土地かどうかをきちんと確認しましょう。

私たち「農地コンシェルジュ」は日常業務としてこういった問合せに慣れているため、FAXやメールで資料を送って確認することが多いです。
でも初めて問い合わせをされる方は、電話ではなく担当者さんと直接会うことをおすすめします。
きっと親身になって相談に乗って頂けることと思います。

担当課に訪問したらぜひ次のことを確認しましょう

・何種農地なのか
・農地転用が可能か
・農地転用が可能でも、転用目的によって判断が異なる場合があるのか

 

※担当課は窓口です。実際の審査を行う「農業委員会」とは異なります。

そのため「絶対に農地転用ができる」と明言することはまずありません。
おそらく大丈夫です」や「農地転用は厳しい土地です」など見解を述べてくれます。

 

2-5. 売買しにくい農地の7つの特徴とプロが教える2つの裏技

売買しにくい農地の7つの特徴を次のとおりです。

【1】囲繞地(いにょうち)・袋地と呼ばれる接道していない農地
【2】農地転用が不可能な農地
【3】面積が500㎡(5畝)以下の小さな農地
【4】市街地から遠方にある農地、または山間部の農地

【5】日当たりの悪い農地
【6】水気の多い(ぬかるんでいる)農地
【7】水の供給の便が悪い農地

土地の利用が農業に限定され、且つ、農作業においても効率的に行うことが困難な農地については、売却もまた困難です。

【売りにくい農地を売る2つの裏技】

【裏技1】

まず身近なところをあたってみましょう。

地元の組合(水利組合など)、または隣接地の地権者へ相談をすると思わぬ情報が得られるかもしれません。

これが売却のきっかけになることもあります。

ぜひ、現地でしかわからない生情報を入手しましょう。

 

【裏技2】

「市街地から遠い農地」や「面積が500平米以下の農地」であっても、農地転用ができれば「太陽光発電用地」として販売できる可能性もあります。

農地の種類は必ず確認しておきましょう。

2-6. 売買しやすい農地の6つの特徴

売買しやすい農地の6つの特徴はつぎのとおりです。

【1】接道し、農作業機械、車両の乗り入れが可能な農地
【2】農地転用可能な農地

【3】1,000㎡(1反)以上の大きさがある農地

【4】市街地に近い、また幹線道路沿いの農地
【5】日当たりがよい農地
【6】水の供給の便が良い農地

土地の利用方法が農業に限定されず転用することが可能であり、ある程度多目的に利用可能な農地は売却しやすい農地といえるでしょう。

【高く売れる農地の例1】

接道(大型車両可であればなお良し)していて、農地転用可能な市街地近郊の農地

 

このケースは非常に好条件な農地といえるでしょう。
農地転用可能で大型車が入れて市街地近郊であれば、住宅用地や事業用地など様々な可能性が生まれます。

不動産会社などの転用を前提とした事業者の情報があつまる所へ相談すれば、農地の相場より高く買い取ってもらえるかもしれません。

 

【高く売れる農地の例2】

接道(小型車両くらいまで)していて、農地転用可能な日当たりの良い農地

 

郊外にあっても、このような条件であれば「太陽光発電用地」として検討できるでしょう。

このように6つの特徴全てに当てはまらなくても、「買主の目的が達成できる条件」をクリアしていれば売りやすくなる可能性が十分にあります。

 

3. 農地を売りたい時に役立つ6つの相談窓口

農地は「農地法」と呼ばれる法律で守られている特別な土地です。

また、都市計画区域(市街化調整区域・非線引き区域)、都市計画区域外に多く存在する為、相談できる窓口は多くありません。

農地の情報が多く集まるのは地域の行政機関内にある「農業委員会事務局」ですが、その性質上原則的には「営農」のための相談窓口となります。
早く売り買いをしたいのであれば、さらに様々なところに相談するのがよいでしょう。

この章では「農地を売りたい」と思った時の相談窓口を紹介します。

3-1. 農業委員会

農業用地として利用したいという買主の情報が集まります。

特に次のような場合に、良い相談窓口となります。
・農地は売りたいけれども、近隣との兼ね合いから農地転用されたくない
・将来も農地として末永く利用してほしい

農地として売買されるため、金額の相場は一般的に安くなる傾向があります。

管轄の農業委員会の問い合わせ先を調べるには、次の方法があります。

・市町村の代表電話にかけて「農業委員会事務局をお願いします」と問い合わせる
・インターネットの検索エンジンで「◯◯市 農業委員会事務局」と調べる

3-2. 不動産会社

不動産会社が相談に乗ってくれるのは「農地転用ができる土地」が前提です。

農地転用ができる土地であれば、事業用地や宅地、太陽光発電所等、転用後に様々な活用方法を考えることができます。
そのためあなたの農地が「農地転用ができる農地」とわかれば早速不動産会社に連絡して相談してみましょう。

事業用地として利用したいという買主の情報が多く集まります。
農地転用できることが前提なので、売却に至った場合はある程度の高額で売却できる可能性があります。

3-3. 農業協同組合(JA)

JAの呼び名でおなじみの農協です。
多くの農家さんと深く関わっています。
そのためJAの職員さんも様々なところとお付き合いされています。
相談してみれば売却のきっかけが掴めるかもしれません。

ただ、いきなりJAに訪問しても困惑してしまうかもしれません。
まずはお近くのJAに電話するところから始めてみてはいかがでしょうか。

3-4. 農業生産法人

農業生産法人の中には収益性をあげるため、少しでも生産量を増やしたいと考えていところがあります。

近隣に「◯◯農園」などの農業生産法人があれば相談してみるのも良いでしょう。
農地を募集しているかもしれません。

3-5. 水利組合、土地改良区

意外な問い合わせ先と思われるかもしれません。

でも普段の付き合いの中で、次のような情報をお持ちのケースがあります。

・近隣農家の○○さんがこっそり農地を探しているらしい
・近隣農家の○○さんが農地を手放したいと考えているらしい

表には出ない情報をお持ちの場合もあります。
問合せてみるのも良いかもしれません。

調べ方としては、インターネットで「◯◯市 水利組合」や「◯◯市 土地改良区」と検索してください。
わからなければ農業委員会事務局と同様、各市町村の代表番号にお電話してください。

 

3-6. 金融機関

事業者が主体となりますが、金融機関の営業マンは常に多様な取引先情報を持っています。
普段より付き合いがあれば相談するのもよいでしょう。

こちらもJAと同様、急に訪問すると困惑されてしまうので事前に電話で相談してみましょう。

 

4. 農地を売却する際の6つの手順

農地の売却は、次の流れに沿って行います。

STEP1. 商談


STEP2. 売却決定


STEP3. 売買契約締結

STEP4. 農地転用許可申請

STEP5. 農地転用許可決定


STEP6. 所有権移転手続き・決済

それぞれ詳しく見ていきましょう。

STEP1. 商談

農地の価格は、「農地転用を前提とした売買」か「農地利用を前提とした売買」かによって変わってきます。

「農地転用が不可能な土地」であれば、買主の購入目的は「営農」です。

しかし、「農地転用が可能な土地」であれば買主の購入目的は「家を建てる」「太陽光発電設備を設置する」「事業用地として売る」など様々です。

各目的によって購入予算が大きく異なりますので、その点を理解して価格交渉をしましょう。

※農地の売買は一般的な土地の売買と異なり、農業委員会から許可を受けなければ売買出来ません。
また、登記されていなくても「小作権」が設定されている場合があります。
事前に「農業委員会」への確認が必要です。

 

STEP2. 売却決定

売却が決定したら諸経費の取り決めをしましょう。
土地契約に関わる費用には次のようなものがあります。

記載した項目以外にも発生する可能性が十分にあります。
事前に調べておきましょう。

費用項目 概算費用 備考
農地転用申請費用 行政書士:10万円〜 土地改良区や水利組合への決済金が発生する場合あり
確定測量費用 土地家屋調査士:20万円〜 土地形状により金額が大きく変動します
不動産仲介手数料 不動産会社:売買代金の5%程度 最低手数料が10数万に設定されている場合あり
土地の所有権移転登記費用 司法書士:3万円〜 登録免許税+司法書士への報酬
譲渡所得税 売買価格による 土地や建物を売却した際に発生
印紙税 売買契約書 契約書に貼り付け

諸経費はどの項目をだれが負担するかを明確に決めておきましょう。
売買契約書にも記載する必要があります。

 

STEP3. 売買契約締結

売買契約を締結する際は、事前に契約書の雛形を見てチェックをしましょう。

何回も見直して、わかりにくいところや不安なことが無いかを確認しましょう。

 

STEP4. 農地転用許可申請

農地法にかかる許可申請の種類は次の3つの種類があります。

内容 管轄 具体例
3条申請 転用を伴わない所有権移転などの「権利移動」の場合 農業委員会 あなたの農地を「農家さん」や「農業生産法人」に売却する場合
4条申請 地権者自らが「転用」を行う場合 都道府県知事 あなたの農地であなた自身が太陽光発電事業を行う場合
5条申請 「権利移動」と「転用」を同時に行う場合 都道府県知事 あなたの農地を第三者が「太陽光発電事業目的」や「事業用地目的」として購入する場合

一つずつ詳しく見ていきましょう

 

3条申請(権利移動)

転用を伴わない所有権移転などの「権利移動 」の場合の申請です。
管轄の農業委員会が許可を出します。

あなたの農地を「農家さん」や「農業生産法人」に売却する場合は、3条申請となります。

 

4条申請(転用)

地権者自らが「転用」を行う場合の申請です。
こちらの申請は都道府県知事許可となります。

例えば、あなたの農地であなた自身が太陽光発電事業を行う場合に、4条申請となります。

 

5条申請(権利移動と転用の同時申請)

「権利移動」と「転用」を同時に行う場合の申請です。
こちらの申請は都道府県知事許可となります。

例えば、あなたの農地を第三者が「太陽光発電事業目的」や「事業用地目的」として購入する場合の申請です。
ただし、前述の通り農地の種類によっては「転用」出来ない場合があります。

事前に「農業委員会」への確認・相談が必要です。

農地転用申請が許可されないこともあります。

申請を出したからといって「必ず許可が下りる」というものではありません。
3種農地で「届出」の場合は比較的容易です。
2種農地などは「許可申請」です。

そのため農地転用を申請する時には専門の行政書士もしくは経験豊富な業者と行うことをおすすめします。

 

STEP5. 農地転用許可決定

転用許可が決定されます。
ここまでこれば一安心です。

無事に許可を受けることができれば、あとは所有権移転と土地代を受け取るだけです。

 

STEP6. 所有権移転手続き・決済

あなたの土地名義を買主さんに変更する手続きとほぼ同時に、土地代が入金されます。

 

5. 農地を売るときに注意したい4つのポイント

農地は「宅地」や「雑種地」に比べて注意しておかないといけないポイントが多くあります。
売却をご検討されている場合は本章で紹介する注意ポイントを押さえておきましょう。

5-1. 農業委員会にはローカルルールがある

各市町村の農業委員会にはローカルルールが多々あります。
そのため、問い合わせた窓口で「農地転用ができますよ」と言われても、実際に申請したら条件付きなどになる場合もあります。

そのような事態にならないために、プロである不動産会社に仲介をお願いする方法があります。

また、買主さんの買取が経験豊富であれば、ある程度任せても良いかもしれません。

5-2. 土地の売却に関わる諸経費を知っておく

土地の売買に関わる諸経費は以下のようなものがあります。

次の表は「STEP2. 売却決定」にてご説明したものです。
重要ですので再掲します。

費用項目 概算費用 備考
農地転用申請費用 行政書士:10万円〜 土地改良区や水利組合への決済金が発生する場合あり
確定測量費用 土地家屋調査士:20万円〜 土地形状により金額が大きく変動します
不動産仲介手数料 不動産会社:売買代金の5%程度 最低手数料が10数万に設定されている場合あり
土地の所有権移転登記費用 司法書士:3万円〜 登録免許税+司法書士への報酬
譲渡所得税 売買価格による 土地や建物を売却した際に発生
印紙税 売買契約書 契約書に貼り付け

これらの中で必ず発生する必要もあれば、発生しない費用もあります。

事前に「どのような諸経費が発生して、売主と買主で、どのような負担割合にするか」を必ず明確にしておきましょう。

5-3. 地域ルールを知り、守ることの重要性を知っておく

地域の多くの農地には、昔ながらの独特な決まり事が存在します。

きちんとした手続きにのっとった売却や所有権移転については、法的に何ら問題はありません。

しかし、農地はある種特別な土地になります。
地域ルールがあるならば、買主様へ事前にわかる範囲で伝えておくことが大切です。

5-4. 近隣地権者の理解を得ておく

売却後もご近所様とのお付き合いは続きます。
先祖代々の農地は、ご近隣様とお互いに守り維持してきた歴史を持っているところが多く存在します。

売却後の利用方法を確認し、事前にご近隣様に説明の上、ご理解を求めるのがよいでしょう。

 

6. ちょっと待った!農地を売る前に土地活用を考えてみよう

農地の活用のイメージ図

農地の売却を検討していると思いますが、「ご自身で農地を活用をする」という選択肢を考えてみてはいかがでしょうか。

この章では農地活用の例をいくつか紹介します。

「農地転用ができる農地かどうか」で活用方法も異なりますので、「2-4. あなたが所有している農地の種類を調べる方法と3つの手順」で記載した通りに調べてから検討してください。

 

6-1. 駐車場や太陽光発電所等の事業用地として第三者に貸す(農地転用が必要)

農地転用で駐車場

あなたの所有している農地が農地転用できるのであれば、事業用地として貸すことが検討できるでしょう。

例えば、近隣にマンションや住宅地がある土地で、駐車場としての需要が期待できるのであれば検討するべきでしょう。
日当たりが良く、近くに電柱もあるような場所なら「太陽光発電用地」としても検討できるでしょう。

 

6-2. 太陽光発電を自ら設置(農地転用が必要)

太陽光発電

近年急速に普及してきた太陽光発電設備を自ら設置し運用する方法です。
急速に普及したことにより以下のようなメリットが生まれました。

・稼働実績が多くなり、発電量予測の精度が向上し、収益の見通しが立てやすい。
・設備コストの下落(5年前の半額程度)
・業者の経験値に向上による工事技術の安定化

電力の買取価格が下落し続けており、「昔ほど儲からない」という声もありますが、メリットも多くあります。
太陽光発電の見積もりは基本的に「無料」ですので検討してみる価値はあるかもしれません。

 

6-3. ソーラーシェアリングを検討する(農地転用が比較的容易)

ソーラーシェアリングさざ波方式アルミ架台

前述した一般的な太陽光発電システムと異なり、「ソーラーシェアリング」は太陽光事業と営農を両立させる事業となります。
ソーラーシェアリングは「営農型太陽光発電」とも言われ、近年増加傾向にあります。

2018年にはソーラーシェアリングの制度も緩和され、今追い風が吹いている活用方法といえるでしょう。

ソーラーシェアリングについて詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。

今回の記事をまとめるとポイントは次の5つになります。

(1)「農地転用が可能な土地」と「農地転用が不可能な土地」では、買取価格に大きな差がでること
(2)農地の種類を各市町村役場に実際に行って聞くのが重要であること
(3)農地売買の相談窓口は農地の種類によって変わること
(4)農地売買は「商談〜農地転用許可」までが重要であること
(5)売却の前にご自身での農地活用方法も検討してみること

一見、難しそに見えた農地の売却も、次に何をすべきかご理解いただければもう怖くありません。

もし今、農地の維持管理が大変で「農地を売りたいな」とお考えの方も、農地売却に挑戦してみてはいかがでしょうか。

この記事があなたの農地に関するお困りごとの解決策の一助になれば幸いです。

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【買いたい】
・農地を買いたいけれど不動産屋に土地情報がない
・作物に適した農地を買いたい

【売りたい】

・農地を相続したが営農をしないので困っている
・耕作放棄地を持て余して困っている
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【活用したい】
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