生産緑地の2022年問題をご存知ですか?
実はこれ、都市部の不動産価値を大きく揺さぶるかもしれない大きなリスクをはらんでいます。
そのため生産緑地をお持ちの方は注意が必要です。
そこでこの記事では、生産緑地(法)に関する次のようなポイントをご説明します。
(1)生産緑地(法)の基礎知識
(2)生産緑地法の改正点
(3)生産緑地法 2022年問題とその対処法
(4)生産緑地(法)でよくある質問
最後まで読んで頂くことで、2022年に生産緑地で何が起こるかがわかるようになります。
そしてどんな選択肢があり、どういうメリット・デメリットがあるかも理解できるようになります。
生産緑地をお持ちの方は、きっと納得のいく最良の選択肢を見つけることができるでしょう。
生産緑地でお困りの方や不安を抱いている方に、少しでもお役にたてれば幸いです。
目次
1. 3分でわかる生産緑地と生産緑地法のおさらい
この章では、生産緑地(法)の概要を簡単にご説明します。
すでにご存じの方は読み飛ばしていただいて構いません。
なんとなくわかっているつもりであれば、ぜひご一読ください。
制度改正もありましたので、参考にして頂けたらと思います。
1-1. 生産緑地・生産緑地法とは(ご存知の方は読み飛ばしてください)
生産緑地法とは、都市部にある農地などを計画的に守っていこうとする制度です。
本来、市街化区域は開発を進めていくべきところです。
ただその中には、自給率確保や景観維持など様々な点からみて緑を残しておきたい地域もあります。
そこで、社会的要請の高い地域は緑地として保全すべきというのが生産緑地制度です。
そしてこの制度のもとで指定をうけた土地が生産緑地です。
緑を残すということは開発が制限されるということでもあります。
そのため、生産緑地の所有者は開発が制限される分、様々な優遇措置も設けられています。
1-2. 生産緑地は固定資産税が安く、相続税の納税猶予がある
生産緑地は指定されてから30年間は次のように税制優遇措置があります。
・ 固定資産税が農地と同じ扱いになる
・ 相続税の納税猶予がうけられる
特に特定市街化区域農地(三大都市圏特定市にある農地)(※1)では、生産緑地化か否かで税金が大きく違います。
農地の区分 | 評価 | 税金の扱い | |
---|---|---|---|
一般農地 | 農地評価 | 農地課税 | |
市街化区域農地 | 生産緑地 | 農地評価 | 農地課税 |
一般市街化区域農地 | 宅地並評価 | 農地に準じた課税 | |
特定市街化区域農地(※1) | 宅地並評価 | 宅地並課税 |
(※1)特定市街化区域農地とは、三大都市圏の特定市にある市街化区域農地をさします。
また三大都市圏の特定市とは、①都の特別区の区域、②首都圏、近畿圏又は中部圏内にある政令指定都市、③②以外の市でその区域の全部又は一部が三大都市圏の既成市街地、近郊整備地帯等の区域内にあるものをいいます。
ただし、相続税は平成3年1月1日時点で特定市であった区域以外は一般市町村として扱われます。
また、納税猶予とは、相続において一定の要件(※2)を満たせば、相続税の支払いを先延ばしできることです。
農地に対しての特例ですが、生産緑地にも適用されます。
(※2)相続税の納税猶予がうけられる一定の要件とは、次の場合です。
(1)相続人の死亡
(2)後継者への生前一括贈与
(3)市街化区域内農地で、20年以上農業を続けてきた場合
ただし、三大都市圏の特定市の生産緑地での納税猶予では次の注意が必要です。
三大都市圏の特定市の生産緑地では、営農条件は20年間ではなく終身となります。
さらに次の条件あてはまると、納税猶予が打ち切られることがあります。
(1)農地を譲渡したり、貸したり、転用した場合
(2)3年ごとの継続届出書を提出しなかった場合
(3)納税猶予を受けた相続税が免除になる前に相続人が農業経営を廃止した場合
納税猶予が打ち切られた場合、納税猶予は免除されず、相続時にまでさかのぼって課税されます。
詳しくは下記の国税庁のHPを参照ください。
国税庁HP|No.4147 農業相続人が農地等を相続した場合の納税猶予の特例
1-3. 生産緑地には建築規制がある
生産緑地は原則として建物は建てられません。
建てるにしても市町村長の許可が必要です。
ただ例外的に次のような施設は、市町村長の許可が無くても建てられます。
(1)ビニールハウス、温室等
(2)農機具の収納施設、種苗貯蔵施設 等
(3)共同で利用する選果場等
(4)農作業講習や市民農園の場合の休憩所等含む
(5)現地材料の製造加工施設
(6)現地作物や「(5)」でできたものを売る施設
(7)直売所・農家レストラン
1-4. 生産緑地では農業をしなければならない
生産緑地では農業をしなければなりません。
ただ、必ずしも所有者自らが農業をする必要はありません。
営農代行や他人に貸して農業してもらうことも可能です。
1-5. 生産緑地について市町村に買い取りのお願いができる3つの場合
生産緑地は次の3つの場合、市町村に買取りのお願いができます。
(1)生産緑地の指定を受けてから30年経過後
(2)生産緑地で農業してきた人が亡くなった場合
(3)生産緑地で農業してきた人が現実的に農業を続けることができなくなった場合
市町村は買取りのお願いがあっても、必ず買い取りできるとは限りません。
買取りできない場合は、市町村が別の買取り先を探してくれます。
それでも見つからなかった場合は、所有者が自分で使途を考えることになります。
なお生産緑地を相続した人が、頑張って農業を引き継ぐこともできます。
その場合は引き続き生産緑地として扱われるので、固定資産税は安いままです。
くわしくはこちらを参照ください。
国土交通省HP|生産緑地制度
1-6. 生産緑地に指定されているかどうかを調べる2つの方法
生産緑地かどうかを調べる方には2つあります。
(1)インターネットで調べる
都市計画図を市町村がホームページで公開していところがあります。
生産緑地のある市町村のホームページを検索してみてください
参考に奈良市の公開情報をご紹介します。
奈良市HP|都市計画情報公開システム
(2)役所に問い合わせる
生産緑地は各市町村が必ずデータベース化して公開しています。
役所に行って「都市計画図」を見せてもらえば、生産緑地かどうかがわかります。
それ以外にも、現地に「生産緑地」の看板が立っていれば、その土地は間違いなく生産緑地です。
生産緑地には看板を立てるかホームページで公開することが義務付けられているからです。
1-7. 生産緑地が多い地区はどこか
地区数と総面積を順位付けすると、次のようになります。
順位 | 地区数 | 総面積 |
---|---|---|
1位 | 東京 | 東京 |
2位 | 神奈川 | 大阪 |
3位 | 埼玉 | 埼玉 |
4位 | 大阪 | 神奈川 |
5位 | 愛知 | 千葉 |
いずれも大都市圏に集中しています。
詳しい情報は国土交通省の下記リンクを参照ください。
(24)生産緑地地区をクリックするとエクセルシートがダウンロードできます。
国土交通省HP|都市計画区域、市街化区域、地域地区の決定状況(平成29年)
2. 生産緑地法の改正で規制緩和された3つのポイント
この章では生産緑地法の改正点を簡単にご説明します。
平成29年6月に改正され、主に次の3つことが緩和がされました。
この章を読むことで、具体的にどう変更になったかがわかるようになります。
2-1. 面積要件の引き下げ ~ 条例で300㎡以下になりました
生産緑地今まで500㎡以上という要件がありましたが、条例で定めれば300㎡まで認められるようになりました。
あわせて、同一又は隣接する区域内に分散している場合でも、農地の面積を合計して判断してもらえることになりました。
(ただし、それぞれの農地は100㎡以上必要です。)
2-2. 建築規制の緩和 ~ 産地直売所や農家レストランが建てられるようになりました
農業をできるだけ続けられるようにとの観点から、次のような施設も建てられることとなりました。
①生産緑地内でつくった作物を原材料にして製造・加工する施設
②生産緑地内でつくった作物や①でできたものを販売する施設
③生産緑地内でつくった作物を食材にしたレストラン
つまり、産地直売所や農家レストランが建てられるようになりました。
2-3. 10年ごとの延長が可能になりました ~ 特定生産緑地制度の導入
特定生産緑地制度と呼ばれていますが、実質は10年延長の意味です。
呼び名が「生産緑地」から「特別生産緑地」にかわりますが、税金などは安いままです。
さらに10年経過したら、繰り返し10年延長できるようになりました。
詳しくはこちらを参照ください。
国土交通省HP|生産緑地制度
3. 生産緑地の2022年問題で起こる3つのこと
この章では、生産緑地の2022年問題についてご説明します。
2022年以降生産緑地の多い都市部では次のような事態になるのではないかと懸念されています。
これがいわゆる生産緑地の2022年問題と呼ばれるものです。
この章を読むことで、生産緑地の2022年問題で予想される事態を理解できるようになります。
3-1. 土地の需給バランスが崩れて不動産の価値が下落する恐れがある
生産緑地に指定されてから30年が経過し指定が解除されると、一斉に農地転用されて住宅が増えることが予想されます。
もともと生産緑地は市街地の一等地にあるものも多いため、住宅としての立地条件も良いと思われます。
それが住宅市場に一気に放出されれば需給バランスが崩れて、不動産価値が下落する恐れがあります。
それでなくても空き家が多い中、新築が一気に増えるとなると空き家問題もさらに加速するかもしれません。
3-2. 都市部から緑地が激減し、景観が悪くなる恐れがある
都市部に一定の緑を確保することが、生産緑地制度の目的の一つです。
それが2022年以降急速に激減すると、都市部の景観が悪くなります。
それ以外にも、都市部農地は災害の際の防災空間の確保などの役割も担っています。
都市部から緑が無くなるというのは、様々な面で影響を与えるものと思われます。
3-3. 日本の食料自給率が低下する恐れがある
生産緑地の面積は全国で約13,000ha(平成29年3月現在)あります。
これは山手線の内側の面積(約6,500ha)の約2倍にあたります。
これらが農地でなくなる可能性があるのです。
都市部に田畑があるということは、そこに住む子供たちは普段から田畑を目にしています。
無意識であっても、農作物が田畑で育つ姿を目にしているのです。
もし都市部から田畑が消えていけばそういった機会もなくなります。
子供たちの中で「野菜は植えて育てるもの」という意識が低くなります。
そうするとより一層輸入の比率が高くなり、食料自給率が低下するかもしれません。
都市部農地の存在意義は、データだけでは表せない部分もあるのです。
4. 生産緑地の2022年問題の5つの対処法とそれぞれのメリット・デメリット
この章では、生産緑地の2022年問題の対処法についてご説明します。
対処法には様々あるとは思いますが、ここでは主なものを5つあげています。
この章を読むことで、どのような対処法があるのか、またそのメリット・デメリットがわかります。
まずは次の一覧表をご覧ください。
【対処法】 | 【メリット】 | 【デメリット】 |
---|---|---|
(1)農地転用して賃貸住宅経営 | 不動産収入 | 固定資産税アップ 空室リスク |
(2)農地転用して売却 | 宅地並みの売却収入 | 売却できないリスク 固定資産税・相続税アップ |
(3)特定生産緑地として営農継続 | 手続が一番ラク 現状維持 |
営農義務や建築規制が継続 |
(4)特定生産緑地として営農代行 | 手続がラク 現状もほぼ維持 |
営農代行が見つからないリスク 営農義務や各種規制が継続 |
(5)市町村に買取りのお願いをする | 法律の目的に沿った適切な管理がなされる | 買取りなしのリスクあり 農地の時価は宅地に比べて安い |
続いて対処法を一つずつ詳しくご説明します。
対処法(1)生産緑地を農地転用して賃貸住宅を経営する
生産緑地を農地転用して賃貸住宅を建てて経営するという方法があります。
この方法の最大のメリットは不動産収入が得られることでしょう。
市街地にあるわけですから家賃も高く設定できそうです。
しかし、今まで農家をされていた方で賃貸経営のノウハウもお持ちの方はあまり多くないかもしれません。
ノウハウもないまま多額の投資をするのはリスクが高いと思われます。
先にも述べましたように、今でさえ空き家問題は深刻化しています。
地域一帯が一斉にマンションなどを建設したら、なお一層の空き家問題が深刻化する恐れもあります。
建てたはいいが思うように家賃収入が得られず、融資の返済と高い固定資産税に苦しむ事態とならないよう注意しましょう。
対処法(2)生産緑地を農地転用してから売却する
生産緑地を農地転用して、宅地にしてから売却するという方法があります。
確かに市街地で、ある程度の大きさの土地であれば高値で売却できるかもしれません。
先祖代々受け継いだ土地にこだわりが無ければ、ある程度の売却収入が得られることでしょう。
しかし、先に述べましたように地域的にまとまった土地が一斉に売りに出されたら、不動産価値も下落するかもしれません。
手続についても「農地転用」して「売却」となるとかなり煩雑になります。
ご注意ください。
くわしくは下記のリンクを参照ください。
「農地コンシェルジュ 農地売買」へリンク
対処法(3)生産緑地の指定を10年延長して農業を継続する
生産緑地の指定を10年延長し「特定生産緑地」とした上で、引き続き農業を続ける方法があります。
名前が「生産緑地」から「特定生産緑地」に変わるだけで、実質的には現状維持です。
税制特例措置や各種規制もそのまま継続です。
手続も簡単ですので今の状態を良しとしているのであれば、妥当な選択肢だといえます。
ただ、農業も続けなければなりませんから、この先10年間は変わりなく農業を継続できるかのか慎重に検討しましょう。
対処法(4)生産緑地の指定を10年延長して他人に農業してもらう
生産緑地の指定を10年延長し「特定生産緑地」とした上で、他人に農業してもらう方法があります。
土地は手放したくないが農業を続ける自信はない、といった場合に選択の余地があります。
ただ農業を請け負ってくれる人を見つけてくるのはなかなか難しいかもしれません。
そこで、2018年9月に生産緑地の賃借が安心して行えるよう「都市農地貸借法」というのが制定されました。
これにより都市農地が賃借しやすくなりました。
農業が続けられないとの理由での農地処分に歯止めがきくのではないかと期待されています。
詳しくは下記を参照ください。
農林水産省|都市農地の賃借がしやすくなります
対処法(5)市町村に買取りのお願いをする
30年経過したら本来の手続きに従って、市町村に買取りのお願いをする方法があります。
市町村が買い取れば公園や緑地等に整備されるので、都市部に緑が残ります。
ただし、買取価格は時価になります。農地の時価です。
また、市町村は買取りのお願いがあっても、必ず買い取りできるとは限りません。
買取りできない場合は、市町村が別の買取り先を探してくれます。
それでも見つからなかった場合は、所有者が自分で使途を考えることになります。
4章のまとめ 生産緑地2022年問題5つの対処法の選び方
生産緑地2022年問題の5つの対処方法を要望をもとに整理しました。
要望 | 対処法 |
---|---|
土地を使って儲けたい人 | (1)生産緑地を農地転用して賃貸住宅を経営する |
土地を高く売りたい人 | (2)生産緑地を農地転用してから売却する |
農業を頑張って続けたい人 | (3)生産緑地の指定を10年延長して農業を継続する |
農業は無理だが土地は守っていきたい人 | (4)生産緑地の指定を10年延長して他人に農業してもらう |
土地を無難に処分したい人 | (5)市町村に買取りのお願いをする |
土地に対しては様々な思いがあり、簡単に割り切れるものではありません。
他にもいろいろな選択肢があると思います。
現在の状況だけでなく10年20年先を見据えた納得のいく対処法を検討しましょう。
5. Q&A|生産緑地(法)でよくある10の質問
この章では、生産緑地や生産緑地法についてのよくある質問をご紹介します。
詳しい内容は、本文へのリンクを参照ください。
Q1: 生産緑地(法)とはなんですか
A: 生産緑地法とは、都市部にある農地などを計画的に守っていこうとする制度です。
そしてこの制度のもとで指定をうけた土地が生産緑地です。
詳しくは「1-1. 生産緑地・生産緑地法とは」を参照ください。
Q2: 生産緑地かどうかを調べる方法はありますか
A: はい、あります
各市町村の窓口に行って「都市計画図」を見せてもらえばわかります。
また市町村によっては「都市計画図」をホームページで公開しているところもあります。
あと、現地に看板が立っていれば間違いなく生産緑地です。
詳しくは「1-6. 生産緑地に指定されているかどうかを調べる2つの方法」を参照ください。
Q3: 生産緑地法の改正で何が変わりましたか
A: 主な改正点は、3つあります。
①面積要件が引き下げられ、条例で300㎡以下になりました。
②建築規制が緩和され、直売所や農家レストランが可能になりました。
③10年ごとの延長が可能になりました。
詳しくは「2. 生産緑地法の改正で規制緩和された3つのポイント」を参照ください。
Q4: 特定生産緑地とは何ですか
A: 生産緑地が30年経過し、さらに10年延長させたときの新しい呼び名です。
生産緑地の指定を受けてから30年経過すると、指定が解除されます。
その際、延長する手続きをとると呼び名が「特定生産緑地」に変わります。
なお、規制や優遇措置などはほぼ同じです。
詳しくは「2-3. 10年ごとの延長が可能になりました ~ 特定生産緑地制度の導入」を参照ください。
Q5: 生産緑地が多い地区はどこですか
A: 地区数で多いのは、1位:東京、2位:神奈川、3位:埼玉、4位:大阪、5位:愛知です。
面積で大きいのは、1位:東京、2位:大阪、3位:埼玉、4位:神奈川、5位:千葉です。
詳しくは「1-7. 生産緑地が多い地区はどこか」を参照ください。
Q6: 生産緑地の2022年問題とは何ですか
A: 生産緑地の2022年問題とは、生産緑地が30年間の縛りがなくなり一斉に宅地などに転用され、様々な影響が出るかもしれないという問題です。
主に3つのようなことが懸念されています。
(1)土地の需給バランスが崩れて不動産の価値が下落する恐れがある
(2)都市部から緑地が激減し、景観が悪くなる恐れがある
(3)日本の食料自給率が低下する恐れがある
詳しくは「3. 生産緑地の2022年問題で起こる3つのこと」を参照ください。
Q7: 30年経過した後はどんな選択肢がありますか
A: 主に5つあります。
(1)農地転用して賃貸住宅を経営する
(2)農地転用してから売却する
(3)10年延長して農業を継続する
(4)10年延長して他人に農業をしてもらう
(5)市町村に買取りのお願いをする
詳しくは「4. 生産緑地の2022年問題の5つの対処法とそれぞれのメリット・デメリット」を参照ください。
Q8: 生産緑地を相続するとどうなりますか
A: そのまま引き続き農業をするのであれば、通常の農地の相続と変わりありません。
一方、市町村に買取りのお願いをするのであれば、税制特例措置がなくなります。
これは30年経過後に買取りの申出をした場合と同じです。
詳しくは「対処法(5)市町村に買取りのお願いをする」を参照ください。
Q9: 生産緑地の納税猶予とは何ですか
A: 納税猶予とは、相続において、一定の要件を満たせば、相続税の支払いを先延ばしすることができることです。
農地の相続で行われる措置ですが、生産緑地でも適用されます。
詳しくは「1-2. 生産緑地は固定資産税が安く、相続税の納税猶予がある」を参照ください。
Q10: 生産緑地を売ることはできますか
A: 原則は、売ることができません。
例外的に売ることができるケースは下記になります。
(例外1)30年経過した後、市町村に買取りのお願いをするも不調となった場合
(例外2)主に農業をしていた人が亡くなり相続となった際に、市町村に買取りのお願いをするも不調となった場合
詳しくは「1-5. 生産緑地を市町村に買い取りのお願いができる3つの場合」を参照ください。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
この記事では、生産緑地に関する次のことをご説明しました。
(1)生産緑地(法)の基礎知識
(2)生産緑地法の改正点
(3)生産緑地法 2022年問題とその対処法
(4)生産緑地(法)でよくある質問
制度改正では実質10年延長ともいえる特別生産緑地制度が導入されました。
同時に幾つかの規制緩和もなされています。
これらを正しく理解することで、生産緑地の2022年問題も賢く乗り切れることと思います。
生産緑地の2022年問題で後悔や失敗しないためにも、ぜひこの記事でポイントを整理してください。
いずれにせよ、納得のいく形で収まることに、本記事が少しでもお役にたつことができれば幸いです。