稲刈りの時期が近づくにつれ、自分の田んぼの稲刈りをいつにしようか決めかねているのではありませんか?
せっかくここまで丹精に育ててきたのだから、ベストなタイミングで収穫したいとお考えのことでしょう。
そこでこの記事では、稲刈りの時期について次のことを説明します。
(1)稲刈りの時期(始期~終期)と最盛期の都道府県別推移
(2)稲刈りの適期を判断する3つの方法
(3)稲刈りの実行日を決める3つの考え方
この記事を読むことで、あなたの田んぼにとって最適な稲刈りの時期が見つかることでしょう。
1. 都道府県別の稲刈りの時期(始期~終期)と最盛期
この章では、稲刈りの時期と最盛期について、都道府県別にご紹介します。
これらは農林水産省の平成29年のデータをもとにしています。
年毎に多少前後はしますが、平成29年は平均的な年でした。
なお、稲刈りの時期は、品種によっても大きく異なります。
特にその地域特産の品種は、地域の気候に適するように品種改良されています。
それもふまえて、地域的な移り変わりをみる参考にして頂けたらと思います。
1-1. 北海道・東北地方
北方にいくほど稲刈りの時期が遅くなる傾向にあります。
これは日照時間が短くなることから、稲の発育が遅くなるからです。
さらに気温が低いことも理由の一つになります。
1-2. 関東地方
同じ関東地方でも、群馬と千葉では大きく差があるようです。
特に千葉県は早い傾向があります。
1-3. 中部地方
北陸の稲作の盛んな地域は、近い時期に最盛期を迎えています。
1-4. 近畿地方
近畿地方でも南紀の方は8月には稲刈りが始まります。
1-5. 中国地方
中国地方は始期と終期が比較的同じ地域が多いようです。
1-6. 四国地方
徳島県や高知県では早期栽培がおこなわれています。
普通栽培に比べて0.5~2ヶ月早く収穫されます。
1-7. 九州・沖縄地方
宮崎県や鹿児島県では早期栽培がおこなわれています。
普通栽培に比べて2ヶ月以上早く収穫されます。
さらに沖縄では2期作がおこなわれており、6月中には1期目が収穫されています。
2. 稲刈りの適期を判断する3つの方法
この章では、稲刈りの適期を判断する方法を説明します。
稲刈りの適期を判断する主な基準は次の3つです。
(1)黄色い籾(もみ)の占める割合が85~90%になる
(2)出穂(しゅっすい)から40~50日経過する
(3)出穂からの積算温度が1000~1250℃になる
品種によって幅がありますが、概ねこの3つの基準で決まります。
まずは(1)がわかりやすい確実な基準です。
これをもとにおおよその見当をつけます。
さらに補助的に(2)(3)の基準も照らし合わせます。
なお、この3つがすべてが揃うとは限らないので、あくまで目安とお考えください。
2-1. 黄色い籾(もみ)が占める割合が85~90%になる
黄色い籾が占める割合が85~90%になると適期です。
籾とは、脱穀(だっこく)する前の籾殻(もみがら)のついたままの米のことです。
籾が黄色くなると食べられる状態になります。
この黄色い籾が全体のうち占める割合のことを「黄化率」といいます。
この「黄化率」が85~90%になるとグッドタイミングになります。
2-2. 出穂(しゅっすい)から40~50日経過する
出穂(しゅっすい)してから40~50日経過したあたりが適期です。
出穂とは、稲の穂が出ることです。
出穂してからの経過日数をみて、稲刈りの適期を判断します。
ただし、品種によって期間は前後します。
2-3. 出穂からの積算温度が1000~1250℃になる
出穂からの積算温度が1000~1250℃になるあたりが適期です。
積算温度とは、毎日の平均気温を足しあわせたものです。
例えば平均気温25℃の日が4日続けば、積算温度は100℃になります。
( 25℃ + 25℃ + 25℃ + 25℃ = 100℃ )
つまり、出穂した日から平均気温を足していき、1000~1250℃をになったらら適期ということです。
なお、こちらも品種によって期間は前後します。
3. 稲刈りの実行日を決める3つの考え方
稲刈りの適期がわかれば、それにあわせて実際の日取りを決めることになります。
日取りを決める際の優先順位は、次で判断する方が多いようです。
(1)品質・収量重視|品質を優先するなら最適期に収穫する、収量を優先するなら最適期より少し遅めに収穫する
(2)天候事情重視|台風が襲来する前に収穫する
(3)個人事情重視|コンバインの順番待ちや会社の休みとの兼ね合いなどで決める
3-1. 品質・収量重視|品質を優先するなら最適期に収穫する、収量を優先するなら最適期より少し遅めに収穫する
上の図は出穂後の経過日数と品質や収量との関係を示したイメージ図です。
品質については、収穫適期がもっと高いので、品質を最優先にするなら収穫適期に稲刈りするのがベストです。
一方、収量は経過日数が経つほど増えていきます。
なぜなら稲が水分を吸ってどんどん大きくなるからです。
したがって、品質より収量を優先するなら遅くする方が重量は重くなります。
ただし、収穫適期を過ぎると、途端に胴割れ米が急増します。
品質も悪くなるので、遅すぎる稲刈りはお勧めしません。
もし、広大な面積で稲刈り期間が長くなる場合は、早目に開始し、すべてが刈り終わるあたりで終期と揃うぐらいがよいでしょう。
【胴割れ米について】
胴割れ米とは、粒に平面の亀裂が入ったものをいいます。
胴割れ米が増えると、脱穀の際に砕け散り、機械に負担をかけてしまいます。
食べたときにも食味が落ちます。
胴割れ米はできる限り減らしたいところです。
3-2. 天候事情重視|台風が襲来する前に収穫する
「台風が来るまで刈りたい」というのを最優先にする方も多いようです。
台風がくると大打撃を受けます。
場合によっては、水に浸かって全滅という恐れもあります。
品質や収量は確かに大事です。
しかし、収穫できなければ元も子もありません。
台風被害だけは絶対に避けたいというのであれば、台風の季節が来る前に稲刈りを済ませてしまいましょう。
3-3. 個人事情重視|コンバインの順番待ちや会社の休みとの兼ね合いなどで決める
コンバインの順番待ちで稲刈りの日が左右される場合があります。
コンバインは高価なので、借りる方もおられるでしょう。
同じ地域的なら時期が重なることも多いので、順番待ちも日取りを決める重要な事項です。
また、田んぼが接道しておらず、他人の田んぼを横切らなければならない場合も、自由に日程を決められません。
なぜなら、隣地の稲刈りが終わるまで、自分の田んぼにコンバインを入れられないからです。
兼業農家であれば、会社の休みの都合も重要な要素になります。
予定していた日が雨だからといって、翌日に持ち越しできない方も多いでしょう。
日程には幾つかの候補日を予定しておきたいところですね。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
この記事では、稲刈りの時期について次のことを説明しました。
(1)稲刈りの時期(始期~終期)と最盛期の都道府県別推移
(2)稲刈りの適期を判断する3つの方法
(3)稲刈りの実行日を決める3つの考え方
稲刈りの日を決めるのは簡単ではありません。
気候の状況や、台風、あるいは個人的な事情により日程が左右されます。
いくつかの候補日を準備しつつも、ベストなタイミングで稲刈りしたいところですね。
この記事を通じて、あなたにとって最適な稲刈りの日を決めるお手伝いができれば幸いです。